大きな運に恵まれたことで自分を見失ったり、驕って油断したりして、その後に運に恵まれない人生を歩む人はたしかにいる。だが、「あんな成功をしてすごいな」と周囲から思われる人が、上昇気流に乗ってさらに大きな成功を手にすることはいくらでもある。
自分を正しく持ち、しかるべき行動を重ねていけば、運は枝葉を伸ばすように大きくなっていく。運とのつき合い方がうまければ、運が運を呼び、運が自動的に増殖していくような人生を歩むことができるのである。
固定観念が心を重くする
運の入口を増やすためには、どのように意識や行動を変えていけばいいのか。基本姿勢や習慣はどうあるべきか。その要となるものは何か。
ひとつは意識によって生まれるさまざまな「思い」をどう扱うかが、重要なポイントになる。「思い」というものは、重く持ってはいけない。あくまで軽く持つようにしなくてはいけない。
心は思いを深めるほど重たくなる。ひとつのことをずっと考え続けたり、何度も無意識に反芻したりすると、強い思い込みになる。そうやって思い込んだものは固定観念となって、心の底に沈んでいく。
底に固定観念という思い込みが堆積していくと、心はその重みで安定を増すかのように感じるが、それは錯覚にすぎない。周りが「ただの思い込みだよ、固定観念にすぎないよ」と諭しても、なかなか聞く耳を持たない。
だから、まるで錘りがついたかのように沈んでいる「思い込み」を引き上げようとしても、すんなりとはいかないことが多いのだ。
思いを軽く持つ
誰しも心の底に何らかの不安を抱えている。心というものはいつも揺れているのだ。そんな不安を覆い隠し、固定してくれるのが、思い込みであり、固定観念である。
だが、思い込みや固定観念というものは、強ければ強いほど、常に変化してやまない世界に柔軟に対応できなくなってしまう。そうなれば、運というチャンスが流れ込んでくる入口を自ら塞いでしまうことになる。
また、「思いを重くしない」姿勢を常に心がけるようにすると、マイナスの思いに引っ張られない生き方ができる。
思いを重くしない、すなわち思いを軽く持つというのは、「ふと思う」というときの感じに近い。怒りや悔しさなどマイナスの感情が湧いても、束の間感じて後へさっと流すことができれば引きずることはない。
これが「思いを軽く持つ」ということである。