勝負の流れは「つかむ」より「触れる」

力を抜こうとすれば、かえってその意識が邪魔をして抜き切れないものだ。ならば、どうするか。「つかむ」という感覚ではなく、「触れる」という感覚を日ごろから持つようにすればいい。これは前述の「思いを軽く持つ」感覚に通じる。

桜井章一『雀鬼語録 桜井章一名言集』(プレジデント社)
桜井章一『雀鬼語録』(プレジデント社)

私は、麻雀において「触れる」感覚をもっとも大事にしてきた。牌は持つのではなく軽くそっと触れる。勝負の流れが生み出す“見えないうず”のようなものに触れるかのようにして牌を素早く切る。私の動きは、こうして常に軽く触れる感覚で貫かれている。

麻雀の勝負はつかみどころがないほど変化に富んでいる。一瞬、一瞬で形勢が目まぐるしく変化し、具体的にこういう形をつくって勝ちにいこうなどという発想は通用しない。

瞬間ひらめくものにさっと触れることで新しい形が生まれたら、次の瞬間には消え去り、別の形らしきものが現れるという繰り返しだ。

麻雀における勝負の流れはつかむことはできない。勝ちをがっちりつかもうとすると途端に形を変えてスルリと逃げてしまう。だからこそ、「触れる」という感覚が大事なのだ。

つかもうとするから、スルリと逃げていく

仕事でも人間関係でも、私は「触れる」感覚を持つようにしている。「手に入れよう」とか「こうしてやろう」と思いながら、強くつかみにいくとたいていその通りにはならないものだ。

「夢をつかめ」という人がいるが、夢はつかもうとするほどつかめない。夢はつかむのではなく触れる感覚で向かうものだ。

運もまた同じだ。運はつかもうとすれば手からスルリと逃げていく。軽く触れるだけでいい。欲張ってつかもうとすると、途端に「触れる」感覚は消えてしまう。

何事にも常に「触れる」感覚でいることだ。その感覚こそ、運に長く恵まれるうえでこのうえなく大事なのである。

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