「力を抜く」ことの本当の意味
「思いを軽く持つ」につながることで、もうひとつ重要なのが「力を抜く」だ。
運をつかもうとする人は、がんばってそれを握ろうとするだろう。だが、力みは往々にして的を外し、不必要な消耗を招く結果になるものだ。力が入り過ぎてはかえって運は遠のいていくのである。
では、力をうまく抜くにはどうすればいいのか。
力を抜くことは、ただ無力な状態になる脱力とはまったく違う。力をうまく抜くと、力んでいるときの何倍ものエネルギーが生まれのである。
スポーツアスリートが体の使い方において、力をうまく抜くための工夫を凝らすのはそのためである。
体重60キロ半ばでも100キロの相手を倒せるワケ
私の麻雀道場には、ボクシングやレスリングなどさまざまな分野の格闘技の選手が体の使い方に関するアドバイスを求めてやってくる。ただの麻雀打ちにプロの格闘家たちがアドバイスを聞きたいというのは、常識では理解しがたいことかもしれない。
私は、力を抜くのがどういうことなのか実地に感じてもらうため、相撲のような形で彼らと組み合ったりする。ところが、体重60キロ半ばの私が力を抜くと、100キロ近くある相手を押し倒してしまうのである。
彼らの頭のなかは「?」でいっぱいだが、本当の意味で力が抜けると、このように常識でははかれないことが起きるのである。
もっとも、私と同じように彼らが力を必死で抜こうとしても、どこかに力みが残る。力を抜き切ることはなかなかできないのは、「力を入れてがんばる」のはいいことだという思い込みが強くあるからだ。その意識は深くこびりついて簡単にはとれない。