藤井聡太と羽生善治に共通するもの

棋士の藤井聡太さんは、負けたときに悔しい感情を引きずらないようにしている、と雑誌のインタビューで語られていた。敗因はむろん分析するが、次の勝負に集中するために感情の切り替えは素早くするという。

それが自然とできるのは、やはり思いを重くしない感性を持っておられるからだと思う。

同じ棋士である羽生善治さんとは、これまでに何度もお会いしているが、お話をうかがっていて言葉の随所に感じるのは、やはり鮮やかな感性ともいうべきものである。何十手先も読むような天才的な思考力と併せて、羽生さんはきわめて鋭い感性を持っておられるのだな、とお会いするたびに感じる。

ふつうの人ならそこまで高い確率はむずかしいだろうが、羽生さんは「直観の7割は当たる」と語っている。これも際立った感性がベースにあればこそだろう。

目を閉じて何かを感じている人
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

運の流れがよくなる「感じる力」

磨かれた感性を持つには、重たい思いにとらわれたりして必要以上にものごとを考えない習慣を持つことが大事だ。感じる力は、考えることに執着していては絶対に生まれないからである。

羽生さんの場合は、考えるべきときと感性にまかせるときとがバランスよく並んでいるのだと思う。

感じる力というのは、このように思いをどう持つかということに密接に関係している。

瞬間フワッと湧いてきて、またいつの間にか消えていくような綿菓子のような軽さ。そんな軽みのある思いを連ねていくように生きていければ、運の流れは間違いなくよくなるはずだ。