フラれても損することなど何もない

しかも、思いを伝えることで可能性の“芽”が出てくることもあるのです。

何の行動も起こさないときには、眼中にないという人でも、「付き合ってください」といわれたらどうでしょう。

そのときは、「ごめんなさい」でも、少なくとも、眼中には入ってきます。つまり、意識する存在になる。

その意識が、いったんは断ったけれど、時間が経ち、よくよく考えてみて、あるいは、彼氏や彼女と別れたとしたら、受け容れてもいいな、という気持ちに変わることもないわけではありません。

アプローチのやり方や限度はありますが、フラれても好意を持っていることを相手に感じさせ続けていたら、そうした“心変わり”は期待できるのです。

こう見てくると、一つ結論が出そうです。

フラれても損することなど何もない。はっきりいって、フラれることを恐れすぎだったのです。

ここまでお話ししてきた、「フラれる」ということの実相をよく胸に刻んで、恐れを払拭しましょう。

プライドが傷つくのが恐いのは、自意識過剰

「告白して断られたら、そのあとの関係が気まずくなりませんか?」

よく聞く話です。

ただし、それはこちらがフラれたことに対して、意識過剰になっているからではないでしょうか。

フラれた自分を意識するあまりに、相手に声をかけにくい、それまでのように普通に話せない、といったことになるのです。

繰り返しになりますが、告白されたほうは、たいがいの場合、こちらに悪い感情を持っていないし、むしろ、申し訳ないと思っているものです。

通常の付き合いのうえでは、気を遣ってくれることはあっても、避けたり、すげない態度をとったりすることはないはずです。気まずいと感じるのはこちらの勝手な思い込みではないでしょうか。

和田秀樹『「すぐ動く人」は悩まない!』(祥伝社)
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意識過剰にさせるのはプライドです。フラれたら、多少なりともプライドは傷つくでしょうし、メンツを失うことにはなるでしょう。

その「かっこ悪いな」という思いが、過剰に大きくなってしまうのです。

しかし、人間は所詮しょせん、そうかっこいいものではありませんし、かっこ悪いこともたくさんしながら生きているのです。

数あるかっこ悪さの中のたかが一つじゃないか、というくらいに考えたらどうでしょう。

意識が過剰になって、相手に対するふるまいが卑屈になったりすれば、可能性の“芽”を自らつみとることにもなる。フラれてなお、恬淡てんたんとしていてこそ、芽もふくらむことになるのです。

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