ふと目の前に現れた「エクストリーマー」

2010年代のキャンプ・ブーム、そしてコロナ禍を経て、グランピング施設は今では、全国の各地に乱立している。どこかで見たことのあるようなグランピングでは、レッドオーシャンのなかに埋没してしまう。そこから一線を画する新しいキャビンを企画してほしい――。この難題が伊藤氏のもとに持ち込まれた。

「どうするか」と思いあぐねていた伊藤氏はある日、たまたま目にした友人の行動が「変わっているな」と感じた。そう、期せずしてエクストリーマーが、目の前に現れたのである。

伊藤氏の現在の事務所は、庭付きの古民家を改修した物件である。そこに以前から付き合いのあった照明メーカーのデザイナーのAさんが、「蒸留器」を持ってふらっと遊びに来た。この蒸留器で何をするのかと聞くと、伊藤氏の事務所の庭に生えている雑草を摘み取って、アロマオイルをつくりたいのだという。

伊藤氏によると彼女は、庭の雑草なのか、野草なのか、ハーブなのか、素人にはわからないものを一心不乱に摘んではかごのなかに入れ、嬉しそうにしていた。その後、つんだ野草を蒸留器に入れて、ハーブオイルなるものを抽出しては瓶に詰めていた。「それをどうするの?」と伊藤氏が聞くと、このオイルを自分の顔や手に塗ったりして、自分流の肌のお手入れをするのだという。謎は膨らんだ。

「自然のなかでナチュラルなお茶会を楽しみたい」

エクストリーマーが製品やサービスの開発に、今までになかった着眼を与えてくれることがあることを知っていた伊藤氏は、Aさんに追加のインタビューを行ってみることにした。そこからつかんだポイントは以下である。

・本当は、山のなかを自由に散策して、いろいろな野草を採集して、たくさんの種類のアロマオイルをつくりたい。しかし時間がかかるし、立ち入ってはいけない場所のような制約もある。
・住宅街の道路脇などに生えている野草は、犬のおしっこがかけられていたりするかもしれないので、さすがに使えない。
・自然のなかでリラックスしながら、ハーブを使ったナチュラルなお茶会を友だちと開きたい。

ここからコンセプト開発に移り、Aさん以外のナチュラル志向の女性たちにも意見や評価を求めながら完成していったのが、GLAMP CABINの5つのキャビンの一つ、「ハーブテラスキャビン」である。