来年秋の自民党総裁選まで支持率が再浮上する気配はなく、総裁選前に解散総選挙を断行するのは難しいとの見方が自民党内では強まっている。再来年は夏に参院選が控え、秋に衆院の任期満了を迎える。来年秋は「選挙の顔」を決める総裁選になることは確実だ。
支持率低迷にあえぐ岸田首相が再選を果たすのはかなり困難になってきた。衆院任期満了を目前に総裁選不出馬に追い込まれた菅前首相と同じ道をたどる展開が十分に予想される。
他方、自民党内にポスト岸田の有力候補は見当たらず、ただちに「岸田おろし」が動き出すエネルギーは乏しい。茂木氏は岸田首相が総裁選に出馬する場合は支持すると表明しており、岸田勇退をじっと待つ戦略だ。
河野太郎デジタル相はマイナンバーカード問題で失速した。安倍派は5人衆が牽制しあい、総裁候補を絞り込めない。岸田政権が国民の支持を失って低迷したまま、来年秋までダラダラ続くシナリオが現時点では最も有力だ。
政権を放り出す急展開にも備えておくべきだ
ウクライナやパレスチナを巡る国際情勢は激しく動き、国内では物価高が止まらず貧富の格差が拡大して国民生活は危機に直面している。岸田首相は孤立感を深めながら政権トップに居座り、国民から総スカンを喰らっている状況だ。これで「国難」を乗り切ることができるのか。
最近の岸田首相で気になるのは、カメラの前で「不敵な笑み」を浮かべる場面が増えたことだ。ライバル不在で「岸田おろし」は起きないという強気からか、それとも四面楚歌で追い詰められていることを覆い隠すために余裕綽々の表情を必死に取り繕っているのか。
「男前」を何よりも重視する岸田首相である。何かの拍子にあっけなく政権を放り出す急展開にも備えておくべきだろう。