たとえば本という商品は、紙と活字でできた形に価値があるのではありません。人生を豊かにするとか、知識を得るといったファンクションに価値があり、支払ったコストに対してそれを大きく得られる本ほど価値が高くなります。これは時間も同じ。一定の時間コストを費やすなら、その時間に求められたファンクションを満たしたときほど、価値の高い=質の高い時間を過ごしたといえます。

では、時間に求められるファンクションとは何でしょうか。私たちは自分の時間を、「知的要求」「感情要求」「身体要求」という3つのいずれかの要求のために使っています。たとえば本を読んでいる時間は知的要求を満たすためであり、睡眠時間は身体要求を満たすためです。それらの要求に対して、時間を「投資的」に使っているときはリターンが大きくなり、時間の価値は高まります。一方、「消費的」に使うと、リターンが減って時間の価値が低下するため、時間をムダにした感覚に襲われやすくなります。

さらに詳しく見ていきましょう。時間を投資的に使えているかどうかの判断は、「誰のための時間なのか」「何の要求が満たされるのか」「その要求は満たされるべきか」「ほかに方法はないのか」という4つのプロセスでチェックするとよくわかります。

部長主催の忘年会の誘いを受けたとします。この忘年会が時間ドロボーであるかどうかを判断するには、まず「誰のためか」「何のためか」というファンクションを把握する必要があります。もし忘年会のファンクションが「部のメンバーの親睦を深めるため」なら、次は「本当に親睦を深めるべきか」を考えます。また、親睦を深めたほうがいいとしても、「忘年会以外の方法はないのか、もっとコストのかからない方法があるのではないか」と考えていきます。この4つのチェックをくぐりぬけたら、忘年会に使う時間は投資的と考えてもよいでしょう。