数字のみで判断しないことが大切
「進学実績」も重要ですが、数字は客観的に見るようにしたほうがいいでしょう。私は、ランキングに出ている表は参考程度にとらえています。
大学入試後には、週刊誌で大学合格ランキングなどが特集されますが、卒業生数や現役・浪人の比率などが考慮されていない数字の場合もあるので、注意深く見ていきましょう。
東大や国公立大、早慶、上智などの難関大や、海外の大学への合格者数も大事な指標の一つではあります。しかしその一方で、生徒の希望の実現のための大学、学部・学科にしっかりと合格できているか、という例があるかも大切です。また、入り口(入学時)と出口(卒業時)の偏差値差が大きい学校は、確実に生徒を伸ばしている学校だと判断できます。
志望校選びは、いろいろな視点で見ることと、数字のみで見ないことが大切です。
進学後に濃密な6年間を過ごし、一生のつきあいとなる「母校」となります。学校の中にいると「なんか落ち着く」「ほっとする」というのも大事なポイントです。友だち選びや、配偶者選びと同じように考えてみるのも、いいかもしれません。
<家ではできなかった鉄道の話>
入試が近づくにつれ、「志望校や過去問の点数」などの勉強面の相談が多くなるものですが、その子は大好きな鉄道の話をしにくることが増えました(そもそも彼が東京最難関の男子校を志望したきっかけは、「たくさんの電車に乗って通えるから」でした)。
1月後半には鉄道図鑑を開き「先生、どのシートの色が好き?」というレベルまで話がマニアックになっていました。
さすがに止めようと思ったタイミングで、彼はこう話しました。
「先生、今までぼくの話につきあってくれてありがとう。家では勉強以外の話をしにくいムードだから、先生と話す時間が楽しみだった。お礼に合格してくるね」見事、合格を勝ち取っていました。