食事療法とビタミンBと鉄剤で週2日登校できるように

治療開始して3カ月が経った中2の10月の血液検査では、BUNは7と初診時と変わらず少ないものの、ビタミンBやフェリチンの数値は改善傾向を示していました。また、血清鉄やUIBCのバランスも改善に向かっていることが確認できました。

実際に、初診から4カ月経ったあたりから、フリースクールに週2回、通学できるようになりました。フリースクールへ行かない日も、釣りへ出かけたりと、外出する頻度が増えてきたのは、よい兆しでした。

治療開始7カ月後、中2の2月の採血では、BUNが11、フェリチンが92と、タンパク質と鉄の数字がようやく改善してきました。しかし、その一方でT-CHO(トータルコレステロール)が116と、油の摂取量は不足しています。

この頃から新型コロナウイルス感染症が流行し、フリースクールは休校に。Fくんには当時、下痢や軟便が見られるようになってきたのですが、当初より併用していた整腸剤の「ミヤBM」を「ビオスリー」に変更して、経過を見ることにしました。

鉄不足が解消し、治療開始から15カ月でかなり元気になった

途中、心理士面談などを交えながらフォローを続けました。

治療開始から10カ月目、中3の5月の採血では、BUN13、フェリチン77と、まずまずの良好状態になり、血清鉄やUIBCの数字もバランスのよい数字になってきました。ただし、やはり油の摂取不足がまだ継続していたので、良質な油の摂取について説明しました。

新型コロナの流行が続き、フリースクールではスクーリング(登校して授業を受けること)はないままでしたが、オンライン授業が始まり、他の生徒との関わりも持てるようになってきている様子でした。食事も3食きちんと食べられるようになってきました。

1年間の治療を経てせっかくの改善傾向が見えた頃に、新型コロナ流行によるスクーリング休講があったことで、外出する機会が減少してしまい、そのために食欲の低下も見られましたが、検査結果や表情は、1年前に比べて明らかに元気な様子に変わっていました。

治療開始から13カ月が経った中3の8月、元気はありながらも頻繁に下痢を起こすようになっていました。その影響が出たのか、タンパク質の状態がやや低下し、炭水化物が増えてきているようでした。

そんな状態の変遷はありましたが、治療開始から15カ月経った中3の10月には、少し日焼けしてたくましくなったFくんの様子がありました。夏以降、積極的に外出することが増えたとのこと。中3の12月にはフェリチンが139まで上昇しました。