胃腸の弱さから質的栄養失調、そして不登校になった例

Fくん(17歳・男子生徒)の不登校は、小学校6年生のときから始まりました。

登校中に気分不良が起こり、学校には何とか行くものの、気分が悪くなって帰ってくることが多かったそうです。翌日もたいていはそのまま気分不良で登校できず、だんだん不登校になっていったとのことでした。

通院先の小児科では起立性調節障害と診断され、「あまり無理をしないように」との指示があったそうです。中学校はそのまま公立中学校に進学しましたが、やはり不登校状態が続き、途中からフリースクールへ転校しました。フリースクールの中学生の部は水曜日だけが登校日でしたが、この週に1回の登校が、彼には精一杯だったようです。

午前中は本を読んだりして自宅でだらだら過ごし、午後は主にゲームをしていたそうです。夕飯は家族と一緒に食べ、夜の11時から12時ぐらいに就寝する生活が続いていました。そして困ったことに、本人はその生活に全く不満を感じていませんでした。

当院には中学2年生の7月、不登校の相談目的で来院されました。食が細く、4歳下の弟さんと同じ体重ということで、心配した親御さんが栄養状態の評価を希望していました。

体重が増えず、血液検査でタンパク質と鉄が不足と判明

早速、血液検査を行なったところ、BUN(尿素窒素)は7とタンパク質不足がかなり悪く、フェリチン(鉄の貯蔵および血清鉄濃度の維持を行うタンパク)は29と、鉄貯蔵も不足していました(図表2)。また、血清鉄209と異常に高い反面、UIBC(不飽和鉄結合能)は基準値以下の138と、非常にバランスの悪い状態であることも分かりました。このように、うまく説明がつかないような数値というのは、身体からの悲鳴のように私は感じます。

【図表2】Fくん(17歳男子)の血液検査の経過
出典=『朝、起きられない病』(光文社新書)

私は「まずはタンパク質と鉄の状態を改善させることが先決」と伝え、食事指導とビタミンBと鉄剤の内服を開始。その後は2週間ごとにフォローを行ないました。

初診から1カ月半が経過した頃のタイミングで、立ちくらみは改善し寝起きがよくなってきたとのことでした。1日中自宅でだらだらしていたのが、「この間は海へ行って貝拾いをしたり、海水浴をしたりしたんです」と、これまでにないような元気な行動を見せるようになったことをお母さんが話してくれました。

フリースクールはこれまで通り週に1度だけでしたが、登校した日はほぼ一日、学校で生活できるようにもなったようです。買い物や外食の機会も少しだけ増えてきました。