起立性調節障害の精神症状でイライラして荒れることも
起立性調節障害は、精神的な不調も招くことがあります。まとめると、次のような症状がよく見られます。
・自信をなくす
・教室に入りづらくなる
・イライラ
・不安感が強くなる
起立性調節障害は、主に朝の不調といった身体症状に始まりますが、そのために遅刻したり、授業中に調子が悪くなって保健室利用が増えたりすることで、勉強の遅れが生じることがあります。加えて夜には元気になる、といった日内変動や季節変動があることから、担任や友達から体調不良への理解を得られなくなっていき、教室での居心地が悪くなることもあります。それに勉強の遅れが加わって、強い焦燥感を抱くようにもなります。
保育園、幼稚園、小学校の低学年・中学年あたりまでは元気で明るかった子が、あるときから突然、起立性調節障害になることが少なくないため、本人にも調子が悪くなった理由が分かりません。健康に対する不安のみならず、学校生活に対する不安、勉強の遅れに対する不安、進学の不安、友達関係の不安など、様々な不安が二重、三重にのしかかってきます。
この不安が、不眠や食欲不振といった、身体的な悪影響にもつながってしまい、まさに悪循環に陥ることになります。
家族、担任、友達からの無理解や誤解は、やがて不登校や引きこもりといった二次障害につながり、状態を複雑化していきます。二次障害を引き起こさないようにするためにも、正しい病気の理解と周囲への啓蒙は、非常に重要であると私は考えています。
10~14歳、二次性徴期の子どもに起こりやすいわけ
起立性調節障害は、小学校高学年あたりから高校生にかけての年齢で起こりやすいトラブルです。この年齢を表す言葉に「二次性徴期」と「思春期」があります。
二次性徴期とは、ホルモンの分泌によって制御される、身体的な成熟が起こる時期を指します。通常、思春期の前半である10歳から14歳の間に始まりますが、男子よりも女子の方に早く現れるのが一般的です。この時期には、体の成長や骨の発育のほか、性器や乳房の成長、体毛の発生、声の変化など、性的な特徴も現れます。
一方、思春期とは、心理的、社会的、および感情的な変化が起こる成長段階のことを指しており、一般的に10代から20代前半までの期間がそれにあたります。思春期には、自己同一性の形成、独立性の追求、社会的役割の探索、性的な意識の覚醒などが含まれます。
思春期は個人の心理的および社会的な発達が進む時期であり、多くの人にとって自己同一性の確立や将来への目標設定などが重要なテーマとなります。