まず入門書的な本を買って、ざっと目を通す
――まずはテーマを決める
読書が良いことはわかっている、そうは言っても「何を読んだらよいのかわからない」「自分が読むべき本をどう探せば良いのか」といった悩みをよく聞きます。
良い本との出会いは、良い人との出会いと同じく突然です。読む時間があってもなくても、まずは興味があるテーマの本を買って、本棚に並べるところから始めます。まずぼんやりとでも自分が興味関心を持ち、時間とお金を投資したいテーマを見つけます。
出会いたい人を探すのと、読むべき本を探す行為は似ています。知り合いたい人を探す時に、その人を知っていそうな、人脈豊富な人に最初に当たってみることがあるでしょう。それと同じく、関心のあるテーマについてわかりやすく俯瞰的な全体図を解説してくれている入門書的な本(“ガイドブック”)をまず買ってきて、ざっと目を通すのです。「すぐわかる○○」のようなタイトルで入門書であることがわかりやすい本もあれば、タイトルからは想像がつかないが全体を俯瞰するのにとても良い本もあります。
やはり傾向としては、多読家で過去に俯瞰的な視点でまとめた書籍を執筆している著者の書いた本や、研究者ではなくビジネスパーソンの読書家が独学でまとめた本などが参考になることが多いです。また、自分の興味関心と経歴が重なる人の書評は特に参考にします。
本は「テキストが書かれて製本までされたノート」
私自身は、テーマに応じて、
・歴史や哲学的思考については、出口治明氏
・資本主義経済については、『ファイナンスの哲学』を書かれた堀内勉氏
・AI、ITについては『WIRED』の関係者(『WIRED』の本の特集等は、今の旬のテーマと古典名著を上手く結びつけて紹介していることが多いです)
などの方々の著作を参考にしています。
“ガイドブック”で紹介されている著者とその考えが面白そうであれば、巻末に掲載されている参考文献を参照したり、ネット書店で著者名を検索してどんどん購入していきます。
実は、この“ガイドブック”から書籍を探してネット書店などで購入するのは、効率的であるだけでなく、実は低コストです。特定のテーマの参考文献は、中古でしか販売していないものも多く、1~200円+送料300円程度で入手することもできます。しかも、ピンポイントで知りたい内容が書かれた名著が、早ければ翌日に送られてきます。
私は本を、「テキストが書かれて製本までされたノート」であると捉えています。線を引いたり、余白に感想や図を書き込んだりしてボロボロにするので、購入するのが古本であっても全く気にしません。
そうして関心のあるテーマに関して、どんどん購入していくと、その中から数冊、線を引いて何度も読み返すことに値する、テーマに関して鍵となる重要な書籍、“キーブック”に出会います。