本を読んでいる人はお金持ちになる

富裕層や世界のリーダーが、多忙な時間を割いてでも読書時間を確保する理由は、これらの理由からです。

また、後で解説するように、意識的な知識の獲得、帰納的分析、批判的思考、想像力、そして熟考する力などは、集中して書籍を読み込むことによってしか得られないことを知っているからでしょう。

読書量と年収の相関を示すデータもあり、例えば『プレジデント』の調査では、「月4冊以上本を読む」と答えた人の割合は、

・年収1500万円以上:34.6%
・年収800万円台:17.8%
・年収500万円台:17%

となったというデータがあります。単に年収が多い程、本に時間とお金を使う余裕があるだけではないか、という指摘もあると思いますが、実は本に使うお金は限られています。1冊2000円の本を月に2冊、つまり年間24冊読んでも、年間5万円にもなりません。飲み会や趣味にもっとお金を使っている人は多いのではないでしょうか。お金持ちは余裕があるから本もたくさん買って読んでいるという相関関係ではなく、本を買って読んでいる人はお金持ちになるという深い因果関係があると思われます。

読書習慣で長寿とメンタルヘルスが約束される

また、アメリカのイェール大学の12年間にも及ぶ調査では、週に3.5時間まで読書をするグループは、向こう12年で17%ほど死亡リスクが低かったこと、また平均して2年ほど長生きであったことが統計で明らかになりました。

アメリカ・コネチカット州ニューヘイブンにあるイェール大学=2019年5月1日
写真=dpa/時事通信フォト
アメリカ・コネチカット州ニューヘイブンにあるイェール大学=2019年5月1日

読書などの精神を刺激する活動を続けていけば、認知低下が32%遅くなること(米・ラッシュ大学メディカルセンター研究調査)や、たった6分の読書がストレスを68%も削減する効果があり、音楽鑑賞や散歩、コーヒー、ゲームよりも効果的であること(英・サセックス大学)等も、研究の結果としてわかっています。

定期的な読書は、集中して脳を鍛える行為であると共に、必然的に暴飲暴食を避け、速やかな入眠に導く生活習慣が生まれるといった点も、長寿に寄与するのかもしれません。長寿とメンタルヘルスと高年収が約束されるなら、誰もが読書習慣を身に付けない訳にはいきません。