14歳だったある日、お腹のふくらみが手に触った!
14歳の山本さんは、母親にいつもと同じように「お腹すいた!」と言い、お腹に触れたときにポコッとしたふくらみがあるのを発見したという。
「最初は便秘かなと何も気に留めなかったのですが、母親が『なんかいやだわね』と、近所の内科診療所に連れて行ってくれました。そこでも便秘ということで整腸剤だけ処方。しかし便通は普段通りにあったものの、そのふくらみが動かなかったことで再度、地元の総合病院に行きました」
エコーやレントゲン撮影をして、何らかの腫瘍が確認されたが、山本さんには事実が伏せられたという。母親だけが医師に呼ばれ、小児がんを専門的に扱う医療センターに行くことを勧められた。両親と山本さんの3人で再検査に行った。
「そこでも検査したのですが、持参した地元の病院の画像と病理検査を参照して、何らかの小児がんであることを医師は確信し、私にもさらっと言いました。
『これは腫瘍だから、手術しなきゃいけないね』
もう私はあまりに衝撃でその場で泣き出してしまいました。両親は私に一切の病状を言わないでいたのに、突然本人に言うなんて、と大激怒。今から思うと医師は私がもう大きいから、きちんと説明してがんと闘えると思ったのでしょうし、両親はここで手術して除去してもらうと覚悟を決めていたと思います。しかしこの一件でだめになり、私はまた転院していくことになりました」
未成年の子どもには正確な診断が告げられない場合も
2009年秋に診断がつき、病院を転々として大学病院で手術をしたのは11月だった。「やっぱり悪いものだった」と確信に変わり、検査や点滴の日々が続き、あれよ、あれよという間に手術の前日になった。
翌日に手術を控え、消灯した後にやってきたのは両親だった。そこに医師と看護師が加わり、インフォームドコンセントが行われた。
「とにかくそれまでは、『何かはわからないから、別の病院に行ってみよう』の一点張りでした。次の日の手術も『悪いものがあるので、それを明日とるよ』としか言われていません。母に聞いてもくわしいことは教えてもらえなかったのです。そうした後、医師から『悪いのは腎臓です』と告げられ、やっと腎臓なのかと分かりました。
自分でも携帯電話で『お腹 悪いもの』などとキーワードを入れて調べていたのですが、腎臓はヒットしません。腎臓ってなんだ。背中にあるのに、お腹にふくらみが出るの? と疑問だらけで手術の日の朝を迎えました」