※本稿は、中田考『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
「実現できなそうな夢を持とう」
先の記事でも書きましたが、読書ができない人は思ったより多いものです。
本書を読んでくれている皆さんはそれなりに読書が好きなのだと思いますが、それでも自分で読んで意味がわかる本しか読まない人がほとんどでしょう。そういう読書が苦手な人は、漫画を読むといいです。
私はいろいろなところで「実現できなそうな夢を持とう」と言っています。目標や夢というのは、「もしかしたら実現するかもしれない」という風に中途半端に思うから不安になるのです。最初から達成不可能だと思っていれば、不安になることもありません。
私はイスラーム教徒ですが、堕落しきった今のイスラーム教徒たちと一緒にされるのが嫌で仕方ありません。私が良いイスラーム教徒だというわけではありません。
私のようないい加減で浅学非才なイスラーム教徒から見ても、今のイスラーム教徒たちは見過ごせないほど明らかな腐敗、堕落、欺瞞の汚泥の中に沈んでいるということです。
というのは、イスラーム教徒にとって一番大切な義務は、民族や言語に関係なくすべてのイスラーム教徒が預言者ムハンマドの後継者である政治的指導者カリフの下に纏まってイスラーム法に則って暮らすことだからです。そうした政体をカリフ制といいます。
ところが今の自称ムスリムたちはその最も大切な義務から目を逸らせ、西洋帝国主義列強が作った国境ごとに別々の国に分かれ、イスラーム法ではなく、旧宗主国に押し付けられた法律に従って生きています。
この恥ずべき状態を改め、イスラーム教徒の最も大切な義務であるカリフ制を再興することが私の夢です。カリフ制の再興は、人類と大地を分断し人間が人間を支配する西洋の領域国民国家という人道に反する邪悪なシステムからイスラーム世界を解放することです。
私はもう還暦も過ぎているので、カリフ制再興を自らの手で実現することができないことは知っています。最初から自分にはできないとわかっているから不安になることもありません。