ジャニーズ事務所は今後、生き残れるのか、生き残るにはどうすればいいのか。経営コンサルタントの小宮一慶さんは「被害者の補償を専門に行う会社と従来通りのタレント事務所に分けて、藤島ジュリー景子氏との関係を断つべきだ」という――。
記者会見で質問に答えるジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏=2023年9月7日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
記者会見で質問に答えるジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏=2023年9月7日、東京都千代田区

記者会見での懸念点

ジャニー喜多川氏による性加害問題に関連してジャニーズ事務所が大きく揺れています。9月7日には、事務所側が記者会見を開き、藤島ジュリー景子社長(57)が辞任するとともに、東山紀之新社長(56)が就任を発表。性加害の事実を認めるとともに、今回の事件の被害者への救済を「法を超えて」行うことなどが表明されました。

今回の記者会見を見ていて、ジャニーズ事務所は「台風が去るのを待っている」という印象を持ちました。

ジュリー氏が社長を退任するというのは、一連の事件を調査した調査報告書の提言に基づいたものですが、彼女が100%株主のままで、なおかつ新体制でも取締役として残ると発表しました。

被害者の救済や補償の役割を十分に果たすためとしていますが、新社長の東山氏もジャニーズ事務所の旧体制やジュリー氏との関係が深いことを考えれば、本当に会社が変わるのかという疑念は払拭できません。ジュリー氏が権限を再度拡大する懸念もあります。所属タレントをCMなどで起用する企業や世間、被害者はそれで納得するとは思えません。

ジャニーズという社名に関しても、東山氏は変える可能性も示唆してはいましたが、今のところは変えないという結論です。つまり、反省はしており、今後はコンプライアンスにも注意はするが、枠組みは大きく変わることはないということです。これはガバナンスの観点からは大きな疑問が残ります。