「スパムおにぎり2個1000円」にたじろぐ日本人
昨年の秋に日本のテレビニュースで、ハワイに行った人が、「スパムのおにぎりを2つ買ったら1000円した」という話をしていました。今と同じくらいの1ドル=150円程度の円安の時期です。今でも、ハワイに行く人は同じ感覚を持っているでしょう。円安で円や日本人観光客の購買力が落ちているからです。
実はこうしてハワイで起こっていることが、日本国内でも起こっているのですが、それに気づいている人は少ないと思います。なぜなら、表面的にはインバウンド観光客の増加などで、景気は回復しているように見えるからです。ところが、その根底ではハワイを訪れた観光客が感じている程度以上に大変なことが起こっているのです。
表面的には回復している日本経済だが
図表1は、最近の街角景気(景気ウォッチャー調査)の数字です。この数字は、経済の最前線にいて景気に敏感な人たちに、景気が良くなっているか悪くなっているかを内閣府が各地で毎月調査しているものです。具体的にはタクシーの運転手さん、小売店の店頭にいる人、ホテルのフロントマン、中小企業経営者などに聞いています。変わったところではハローワークの受付にいる人にも聞いています。
「50」が良いか悪いかの境目ですが、ここ7カ月は「50」を超えた状態が続いています。感覚的には景気は悪くないのです。
同様に、10月に発表された日銀短観でも、企業の回復傾向が読み取れます。表にあるのは、大企業の製造業と非製造業ですが、どちらも回復基調です。この数字は業況が「良い」と答えたパーセントから「悪い」と答えたパーセントを引いて計算しているもので、中間的な答えも認めています。その中間的な答えを除いて計算しています。「20」を超えているとかなり良い数字です。
製造業のほうは、まだ十分な回復とは言えませんが、年初からは徐々に回復しています。非製造業はサービス業が中心ですが、コロナ明けのリベンジ消費やインバウンド需要でかなり好調です。