「正しい手順を踏む」ことで仕事は着実に進められる

一言でいえば「先に考える」ことができていないのです。

仕事ができる人は、問題が起こる前に、万が一に備えてあらかじめ対処法を考えています。思いがけない事態に直面したときには、それが大事(おおごと)になる前に上司や先輩に相談します。

また、自分のやっていることの途中経過を、お客様や上司にしっかりと共有します。仕事を終えるタイミングで、相手を満足させられたかを振り返ります。

このように、やり方を考えた上で仕事を進めています。

つまり、「仕事ができる」とは、その仕事の状況に合った「正しい手順を踏む」ことです。こうした手順に従って、仕事を効率良く進めることができれば、誰でも「仕事のできる人」になることができます。

思い込みや感覚で仕事を進めるのではなく、その場その場で適切な相手に必要な情報共有を行い、あらかじめ定めた作業手順をしっかりと踏んで、着実に進んでいく。

働くプロセスを考えるビジネスマン
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

一見すると当たり前のことのように感じるかもしれません。

でも、この当たり前を当たり前にできるかが重要です。そして、これこそが「仕事ができる」ということなのです。

仕事ができない人は確かにいます。しかし、必ずしもその人が「できない人間」「使えない人間」ということではありません。あくまでも「正しくない仕事のやり方をしている」、ただそれだけのことなのです。

もし、あなたが「仕事をうまくこなせない」という悩みをお持ちなのであれば、ぜひ、できる人の仕事のやり方・進め方を学び、自分の仕事の順番を見直してみてください。

ここからは、仕事ができない人のいくつかの特徴について取り上げてみましょう。

「自分の理解」と「他人の理解」を揃える

残念な仕事のやり方① 自分の理解だけで仕事を進める

多くの場合、仕事には相手がいます。特に、オフィスワークに携わる人の仕事は、「誰かの依頼への対応」「誰かの困りごとへの対応」が大半を占めます。

お客様の要望を聞いて、なんらかの対応をする。社内の仕事であっても、上司や先輩からの依頼を受けて、何かを準備したり、作ったり、運んだりすることが多いでしょう。

そういうときに、自分の感覚ややり方に固執して、自分の思うがままに仕事を進めてはいけません。そんなことをすると、相手の求めていたものとはまったく違うことのために非常に多くの時間を費やしてしまったという残念な結果が待っています。

たとえば、洋食屋さんでカレーライスを頼んでハヤシライスが出てきたときに、「まぁ、どっちも美味しいからいいや」と許す人は、そんなに多くはいないでしょう。

たとえそのハヤシライスが、丸3日間かけて煮込んだ素晴らしいものであったとしても、お客様の注文がカレーライスである以上は単なる「オーダーミス」です。

そうしたことが起こらないように、レストランでは、店員さんが「ご注文を繰り返します」とオーダー内容を復唱します。「相手が頼んだものを、自分がしっかり間違えずに理解しているかどうか」を確認しているのです。

聞き間違えているかもしれないし、メモを取り損ねているかもしれない。

そういう、何かしら誤解しているかもしれない状態のまま厨房にオーダーを伝え、シェフが本気で腕を振るった最高の料理を作る。万が一、それがオーダーミスだったとしたら、とても悲しく、不幸な事態です。

仕事には常に相手がいます。その相手の意思や意向、考えを理解しないことには、どんな仕事も狙い通りの結果にたどり着かないのです。