「月3000円投資」により自然と節約意識が芽生えた

私は、子供と夫をいかに節約に巻き込むか、聡子さんと一緒に考えました。そこで出た妙案が、子供たちに投資をすすめることです。折しも今は2024年から始まる「新NISA」の話題効果で、年齢層を問わず投資意識が高まっています。20代の若い方でも、むしろ柔軟性のある若い人ほど投資に興味を持っているように見受けられます。

聡子さんの子供たちも例外ではありませんでした。投資に興味がありそうだったので、当事務所に連れてきてもらい、「月3000円投資」をすすめたら、興味津々。ぜひ始めたい! と前のめりになってくれました。

「では、軍資金はどうする?」という話になり、長女はアルバイト代、次男はこれまで貯めてきたお小遣いを、それぞれ3000円なり1000円なり出すことに。そうして数カ月間、つみたてNISAで運用してところ、少しだけですが利益が出ました。そこでグッと面白くなって、もっと資金を投入したくなったようでした。

そのタイミングが絶好のチャンス。私は家族に伝えました。

「それなら、食費や通信費などを減らして、家計をより黒字にしてはどうでしょう。そうすれば、もっと投資資金に充てられるかもしれません。少しでも投資資金にスライドして利益を増やせるように、生活の仕方を意識してみませんか?」

そうして始まったのが、家族会議です。食費、通信費、日用品費、どこをどう削れば、いくら余るか。投資資金を増やすために、子供たちが自ら、無駄な支出を見直すようになったのです。

【図表】安田さんちのメタボ家計Before⇒After

話が逸れますが、最近、「新NISA」の話題効果か、子供に投資を教えたいという依頼が増えてきています。母親と子供が一緒に来店して、小学でも投資を始めたいから、方法を教えてほしい、という依頼です。もしお子さんが投資に興味を持っていれば、ぜひ軍資金を集めるためにも、節約をすすめてほしいですね。

さて、具体的にどう“軍資金”を作ったか。購入した分譲マンションのローン返済月9万円は別にして、まず、食費、通信費、医療費、被服費を減らすことにしました。

食費(外食費含む)は日用品と合わせてもともと8万円でしたが、これを予算7万円に引き下げ、現金7万円を封筒に入れておくことに。それで聡子さんのみならず、夫も食費の予算を意識するようになりました。

通信費は、聡子さんだけ格安スマホに乗り換え(2万円→1万8000円)。医療費は、聡子さんが定期的に飲んでいたサプリを、今は症状が落ち着いているという理由で中断(2000円→0円)。被服・美容費は、家族全員が何となく休みの日に惰性で買う行為をやめました(7000円→5000円)。そして、毎月の借金返済は残債分が30万円ほどだったので思い切って貯金から一括で完済することに(返済額月5万円→0円)。

以上を、私の提案を基に、家族で会議して決めてもらい、実行に移したことで6万9000円もの支出をダウンさせることに成功。月の黒字額を11万円にすることができました。

その中から、長男の学費分を追加少しずつ積み立てるとともに、“成功報酬”として子供たちの投資資金や聡子さん、そして新たにiDeCoを始めた夫の投資資金へと充当させています。

今回の家計の問題点は、家族の非協力的な態度がウイークポイントでしたが、投資という奥の手によって打破できました。節約も、目的意識、特に自分にメリットがなければやる気は出ません。いかに明確なメリットを打ち出すか。この家族にとっては、それが「月3000円投資」だったわけです。

【関連記事】
「誕生日会はクルーザーの上で」有名私立に入った娘の交際費にお金を注ぐ"見栄っ張り母"が招いた赤字家計
新NISAは「やらないデメリット」のほうが大きい…「毎月1万円を20年間積み立て」の結果にあなたは驚く
2人の子どもを育てながら1億円貯めた夫婦が「学費を貯めるのはこの一択しかない」と断言する方法
「こんな簡単なことをなぜ多くの人はできないのか」1億円貯めた"普通の会社員"が絶対やらなかったこと
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"【2021上半期BEST5】