丹那トンネルの教訓は渇水ではなく「安全な工事」である
記者会見後の新聞各紙は「湧水枯渇66カ所 水位130メートル低下 丹那トンネル工事被害 文献調査 県『リニア水問題 教訓』」(静岡新聞)の見出しなどで静岡県の思惑通りの大きな記事が掲載された。世論誘導が図られ、県民の多くに「丹那トンネル工事の被害」が惨事の印象を植えつけた。
その後も静岡県は、丹那トンネル工事による渇水状況を題材に、さまざまな会合で、「『トンネル湧水の全量戻し』は当然」とする資料として使っている。
実際には、丹那トンネルの「惨事」として伝えなければならないのは、3度の大事故が起こり、67人の犠牲者(公式発表)が判明していることだ。
リニア南アルプス工事で、静岡県内の犠牲者を1人も出すべきではないことが、「丹那トンネルの教訓」であることは言うまでもない。
JR東海が、本当にリニアの早期開業を望むならば、静岡県の「情報戦」を黙って見ているだけでなく、「丹那トンネル」の正しい情報を正確にわかりやすく伝える対応に取り組まなければならない。
このままでは、「水一滴の県外流出も許可できない」と反リニアに徹する川勝知事の印象操作の術中にはまり、問題解決は遠のき、リニア開業はますます遅れていくだろう。