健康診断の「BMIは22が理想」は大ウソ

「食べることは、悪ではない」「ちょっと太めのほうが元気に長生きできる」

この言葉を証明するデータを紹介しましょう。

ダイエットしないと健康になれない、という強迫観念の檻から、みなさんをダイエットのない自由の世界へ解放したいと思います。いまのあなたはダイエットの檻の中に閉じ込められているのと同じ状態です。

日本肥満学会は、BMIが22を適正体重(標準体重)とし、統計的にもっとも病気になりにくい体重としています。25以上を肥満、18.5未満を低体重と分類しています。

BMIはボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。

計算式は、BMI=体重kg÷(身長m)2

例えば、あなたが体重60kg、身長160cm(1.6m)であれば、式は次のようになります。

60÷(1.6×1.6)=23.4

あなたのBMIは23.4となります。

BMIの違いを表す男性のシルエットイラスト
写真=iStock.com/Mashot
※写真はイメージです

本来であれば、同じ体重でも脂肪量や筋肉量が違うので、この計算方法には限界があるのですが、計算式がとても簡単なこともあり、現在では世界共通に用いられています。

日本肥満学会が理想とするBMIは22ですが、耳を疑ってしまう事実があります。それは、「BMI22で総死亡率が最低になった」との研究結果は、中高年を対象に含んだものでは、日本にも欧米にもどこにもないという事実です。

事実はこうです。

もっとも死亡率が低いのは、BMI24~27.9

いわば私のような“ちょっと太め”の人が、もっとも長生きに向いています。

食べたいものを我慢したダイエットは老化を加速させる

このデータは、1980年、「循環器疾患基礎調査」で、30歳以上の男女1万人を対象に、14年にわたる追跡調査の結果によるものです。もっとも死亡率が低いのは、BMI24~27.9のグループでした。日本肥満学会が理想とするBMI22は、明らかにやせすぎです。

九州大学第二内科でも、福岡県久山町で13年間、40歳以上の住人2000人を対象に同様の調査が行われています。結果は、総死亡率が最低になったのが、BMI23~25の“ちょっと太め”の人々でした。

むしろ気にしてほしいのは、BMI18.5未満の「やせている人」です。食べたいものを我慢してダイエットしたら、栄養不足になって確実に老化を加速させます。

じつは赤ちゃんの出生体重も、その後の人生と大きくかかわっています。出生体重が重い赤ちゃんは、将来、健康であることが多いばかりでなく、知能指数(IQ)も高く、所得も高いことが科学的にも証明されています。

かつて妊婦健診時の体重測定で、「これ以上、増やさないようにしてください」などと叱られた経験を持つ女性は多いのではないでしょうか。