年を重ねても健やかに過ごすには何に気をつければいいか。医師の和田秀樹さんは「高齢者はやせてはいけない。やせることは、筋力低下につながり要介護を招く。だが、65歳以上の高齢者の15%程度が『筋肉やせ』に該当するため、利き足でないほうのふくらはぎを両手の親指と人さし指で囲むことで簡単にチェックしてみるといい」という――。

※本稿は、和田秀樹『やせてはいけない!』(内外出版社)の一部を再編集したものです。

体重計に乗っている人の足元
写真=iStock.com/artoleshko
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欠食による体重減は、目に見えて体力が落ちる

加齢による食欲減退と体重減少(やせること)は、大きなリスクが伴います。

体重が減った!
やせた!

そんなふうに喜ぶ人が多いのですが、私にいわせるとそれは老化を早めて喜んでいる行為です。私の場合、むしろやせると強い危機感を抱きます。やせないため、老化の進行を少しでも遅らせるための対策として、私自身、次のことを強く意識しています。

いかに体重を減らさず、“ちょっと太め”を維持するか。

ちょっと太めを維持すると聞いて、驚かれた方も多いでしょう。

私はいかに体重を減らさないかを常に意識して1日を過ごしています。強く意識しないと、食べるのが面倒になったり、欠食しがちになるからです。年をとるとこんなふうに「無意識のダイエット」に陥る危険があるのです。

欠食によって栄養がとれないと、体重が減ります。そこでやせたと喜んではいけません。健康的にやせたのとは違い、このような欠食による体重減は、体内の水分減少と筋肉減少ですから、目に見えて体力が落ちて疲れやすくなり、肌に張りやツヤもなくなります。

「最近、動くとすぐに疲れる」
「日常の動作が億劫になった」
「何をするのも面倒くさい」

こんなふうな状態になると、運動量がますます減り、外出するのがだんだん億劫になります。ある日、気づいたときには「歩けない」という状態になり、将来、寝たきりになる日が来ることも否めません。