誤解や偏見がビジネスの邪魔になる
ところが、そういう「中国おもしろいよね!」という感覚と、現代中国に向けられる感情は非常に乖離したものになっています。
とあるNPOの世論調査では、日本人の大半が中国に関心を持っていないとの結果が出されています。一度も中国に行ったことのない多くの日本人が、誤解や偏見を抱いたまま、さまざまな情報に接さざるを得ないのが実態だと思います。
私は、現在副理事長を務めている東京都日中友好協会の活動のひとつとして、YouTubeで「都日中チャンネル(https://www.youtube.com/@Channel-dn5mx)」をプロデュースしています。
このチャンネルのテーマは「中国のファンを増やす」「中国の誤解を解く」というものです。ときおり私自身もレポーターとなり、コロナ禍前の2019年11月には、中国大使館で行われた日中友好パーティー「錦秋の夕べ」に招待され、当時の孔鉉佑駐日大使に出演していただいたりもしました。
都日中チャンネルでは他にも、日本で取材できる在日中国人の料理店経営者の方、元中国残留孤児の方を取材したりしています。私は「自らメディアになる」ことによって、たくさんの一次情報に触れることができていると感じます。
世界で活躍する日本人を生み出すために
日本人の一般的な感覚からすれば、「日中友好⁉ そんな誰も関心のないことをして、何の価値があるの?」と思われてしまうかもしれません。おまけに、私のことも「ただの物好きな人」に見えているのかも……。
ですが、私はこれまでたくさんの素晴らしい中国人たちと接してきました。自分からどんどん中国人たちの現場に飛び込んでみたことで、ポジティブなことも、ネガティブなことも、いろいろなことを知ることができました。そんなマスメディアが報じない「中国」を、伝えていきたいのです。
海外ビジネスをしようというとき、日本語メディアで知ることのできる情報には限りがあります。報道特有のバイアスも小さくありません。自分から一次情報を掴みにいくことは、ビジネスのプロデュースにも役立ちます。
プロデューサー的な動きをするためには、メディアやインターネットでわかる情報だけでは十分とはいえません。
人と人とのあいだで「自己人」的な関係を取り結ぶなかで情報を集めていくことが、ビジネスにも活きてきます。ぜひ、ディスプレイ越しではない生きた世界に臆せず飛び込んでいくことを、おすすめしたいと思います。