定期的な運動によって、気持ちはコントロールできる

コルチゾールが分泌される状態が続くと、脳の短期記憶に重要な役割を占める海馬や、抽象的な思考や分析的な思考を司る前頭前皮質を含む前頭葉が萎縮してくると言われています。ストレスを感じてイライラしている人が、冷静で合理的な判断を下すことが期待できなくなっている状態です。このストレスによるコルチゾールが、定期的な運動によって過度に上昇しなくなることがわかってきています。

安川新一郎『ブレイン・ワークアウト』(KADOKAWA)
安川新一郎『ブレイン・ワークアウト』(KADOKAWA)

身体を動かしている時は感覚器が鋭敏に機能しているため、ものが飛んできた時に避けたりするなど、外部環境の変化に素早く反応できます。常に運動状態にあると身体が認識することで、コルチゾール分泌が少なくても闘争か逃走かの状態に身体が速やかに反応できると判断している、もしくは運動によって疑似的にでも、闘争や逃走による危険回避行動を取っていると脳が感じているのかもしれません。

また、スポーツマンや登山を趣味にする人は、特にその運動の最中は、性格が落ち着いていて爽やかな人が多いように思えます。これらは、運動によって日常生活における過度のストレスを解消し、気持ちのコントロールが常にできているからではないでしょうか。

【関連記事】
歩幅が狭い人は認知症発症リスク3倍…鎌田實が編み出した「認知症予防」に特化した歩き方2パターン
ウジウジと悩むのは最悪…自律神経の名医が「人間関係に疲れたら、とにかく早寝早起き」と諭すワケ
70代以降に「イライラした高齢者」と「ニコニコした幸齢者」がはっきり分かれていく"ささいな理由"
これほど脳が活性化する方法を見たことがない…脳研究者が驚いた「勝手に勉強する子」ができ上がるプロセス
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと