営業は顧客のためになっているのか

介在価値を上げることが営業としての存在意義だという考え方に対して、「それは顧客のためになっているのか?」と考える人もいると思います。営業が介在することによって製品原価より高く販売されるのであれば、その費用を負担する顧客の視点からはデメリットなのではないか、という指摘です。

たしかに営業の介在価値のうち「売上高を上げる」という側面だけを見てしまうとそうですが、その売上高の裏には顧客が得る価値がセットになっています。

介在価値としての売上は結果としてついてくるもので、顧客に対して付加価値を発生させるからこそ、顧客からその分を費用としていただけるのです。

この順番を間違えると、ビジネスを永続させ、拡大していくことはできません。

無理な売上の上げ方は、どこかで綻びがでる

・「売上」を一番の目的にしてはいけない

売上を伸ばすことは企業にとって重要です。売上がなければ、プロダクトの機能向上に投資することができず、顧客に届ける価値を大きくしていくことができません。

しかし、売上を一番の目的、目標にしてしまうとビジネスは破綻します。

売上という数字を一番の目的にしてしまうと、顧客に届ける価値を増やすことに時間を使うより、数字の上がりやすい顧客を担当すること、そのための社内政治に時間を使うことのほうが、個人の売上を伸ばすために短期的には効果が大きくなります。また、すでに契約をいただいた顧客をないがしろにしてでも新規提案にリソースを割り振ったほうが成果が上がることになります。

ところが、このような売上の上げ方は長期的には維持できません。個人としては成果を維持できることもありますが、そのシワ寄せを別の個人が負担しているので、組織としてはどこかで綻びがでます。売上という指標は大事ですが、その売上が顧客へのどのような提供価値から発生しているのかを考える必要があるのです。