サブスクリプションで重視される「LTV」

そして、これは近年さらに重要性を増してきています。

この10年でサブスクリプションで提供されるサービスやプロダクトが大きく増えました。サブスクリプションは初期費用を抑えられ、不用になっても解約すれば費用がかからなくなることから、買い切りのプロダクトと比べて優位性があり、今後も増えていくと思います。

このサブスクリプションにおいては、すぐ解約されてしまってはコストが回収できないため、取引を開始してから終了するまでの期間に自社に対してもたらした利益の総額であるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が重視されます。

そして、サブスクリプションのプロダクトは「うまい営業トークだけ」で契約に至ったとしても、提供価値に見合わなければすぐ解約されてしまいます。顧客の負担する費用に見合った本質的な価値を提供しなければ想定していたLTVを得ることができず、コストが回収できないという特徴があるのです。

また、インターネットの普及で口コミが広く速く伝わるようになったことも重要です。

販売したあとに顧客が満足していなければ、口コミサイト、SNS等に投稿され評判がすぐに落ちてしまうので、レピュテーションリスクが高まっています。

「情報」が顧客の課題解決を難しくしている

このように、費用に見合った価値を提供することが重要になっている中で、営業が提供できる価値とは何なのでしょうか?

私が考える営業の価値とは、

「取り組むべき課題に気づかせて、決断をする手助けをする」

ということです。

オフィスで握手する2人のビジネスマンのクローズアップショット
写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
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インターネットで情報をすぐに集められるようになった現代においては、営業に聞かなければわからない情報は少なくなってきています。以前は、顧客が得られない製品の情報を知っているだけで、「情報の非対称性」を活かして役に立つことができましたが、情報収集がしやすくなった現代では難しくなってきています。

一方で情報が多くなりすぎていることが、顧客の課題解決を難しくしているという現状もあります。多くの解決手段が提供され情報もあふれていることにより、何から取り組むべきなのか判断がつきにくくなっているのです。結果、何にも取り組まず現状維持になってしまったり、検討ばかりに時間がかかって取り組み始めるのが遅くなり競争優位性を失っていくことになります。