迷惑仕事も理想の仕事に変えられる

目の前の仕事をやるべきか、捨てるべきか。その判断をするときは、「誰を満足させるためか」を意識する必要があるでしょう。自分のためか、あるいは他人のためかによって、その仕事に費やす時間の価値も変わるからです。

自分を満足させるための仕事(自分満足)は、「やりたいか、やりたくないか」で判断できます。一方、他人を満足させるための仕事(他人満足)は「まわりから必要とされているか、されていないか」という視点で判断できます。この2つの切り口を軸にして整理すると、仕事は9つのカテゴリに分類できます。

自分満足と他人満足の両方が低い仕事は「勘違い」です。自分もやりたくないし、他人も求めていない仕事なので、やるべき理由はありません。ところが会社には、よくわからないけど慣例として昔から続いている仕事も少なくない。そうした仕事は、ばっさり捨ててかまいません。

一方、自分も他人も満足できる仕事は「理想」です。このカテゴリに入るのは、まさしくやるべき仕事。自分も積極的だし、他人からも求められるので、とくに意識しなくても自然に仕事に取りかかっています。

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必要とされていない仕事も満足な仕事になる

判断が難しいのは、どちらかの満足度が低い仕事でしょう。「ストレス」と「迷惑」のカテゴリに入る仕事が、それです。ストレスを感じる仕事も、人の迷惑になる仕事も、それに費やす時間の価値は高くありません。その意味で、この2つのカテゴリに入る仕事は捨てるべきだという見方をする人もいるでしょう。

しかし、これらのカテゴリに入る仕事も、うまく視点を切り替えることで「理想」の仕事へと導くことが可能です。

たとえば、自分が集中して作業しているときに部下から相談事を持ちかけられると「ストレス」になることがあります。これは視点が他人中心になっていて、相手だけが得をしていると感じるからです。

そこで相談を受けるという仕事を自分視点でとらえ直します。その結果、「いまは部下と話したほうが自分にとっても効率がいい」と気づいたら、時間を奪われた感覚が軽減されて自分満足も高まります。このように視点を他人から自分へと移せば、「ストレス」を感じる仕事も「理想」の仕事へと変わるのです。

『ビジネススキル・イノベーション』第1章 1.4倍で時間を見積もる(プレジデント社刊)より

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