分担作業ではなく、チーム作業をする

仕事に複数の人がかかわると、さまざまな面でロスが発生しやすくなります。それでも私たちがチームを組んで仕事にあたるのは、個人でできることに限界があると知っているからです。

ただし、1+1が2になるという力の合わせ方では、相手がいることによって発生するロスのほうが上回るかもしれません。1人1人がうまく力をかけあわせて人数分プラスアルファのものを生み出してこそ、チームでの仕事の意味があります。

そのことは分担作業とチーム作業の違いを考えるとわかりやすいでしょう。

分担作業とチーム作業は、似ているようで違います。分担作業では、「この作業はAさん、この作業はBさん」と仕事をカタチで分けて進行します。分け方はさまざまです。部署や係で組織的に分けたり、ここまでは営業担当の仕事、ここから先は技術担当の仕事というように職種で分けたりします。分担した仕事のそれぞれは、形式的なまとまりの状態で存在しています。しかし、それ以上でもそれ以下でもありません。

一方、チーム作業では、「この役目はAさん、この役目はBさん」と、仕事の役割の分担を行います。役割で分担すると、それぞれが自己完結した単独のパーツでなく、お互いに有機的なつながりを持った状態で存在します。

エリアで仕事を分けると、1+1がマイナスになる

野球にたとえてみましょう。

分担作業で守備についているチームは、ライトとセンターの中間付近にボールが飛んできたとき、お互いがこう言います。

「このボールは、センターか、ライトか」

「センターなら俺の仕事だが、ライトならお前の担当だ」

こうした議論が起きるのは、エリアというカタチで仕事を分担しているからです。こうなると、1+1が2になるどころか、むしろマイナスといえます。

一方、役割で分担しているチームにとって、守備範囲は便宜上の分担に過ぎません。センターの選手にとってもライトの選手にとっても、必要なのは《ボールを捕る》というコトです。《アウトカウントを増やす》という役割は共通であり、どのエリアに落ちるのかは重要な問題ではない。

お互いの役割をわかっていれば、境界線上に落ちたボールにも臨機応変に対応して、近いほうが落下地点に向かい、もう1人はカバーに回るという連係プレイで、チームの目的を達成しようとするでしょう。