4.急かしたいときほど言葉選びを慎重に

部下の仕事の進み方が遅いとき、「急げ」とか「早くしろ」と言ってしまいがちですが、これでよい結果が得られるでしょうか。

うっかり忘れていたときなどはそれほど害はないでしょうが、それでも「すぐに始めてくれ」という言葉の方がよいでしょう。

現にその作業に取り組んでいるのに「急げ」とか「早くしろ」と言われると、(まじめな人ほど)焦ってかえってミスが出やすくなります。

だからちょっと我慢して、「手堅くやってくれ」「こういうときこそ一つ一つ確実に進めよう」と声をかけた方がよいと思います。

このあたりも、上司は感じたままに言葉にするのではなく、結果がよくなるよう表現を工夫しなくてはなりません。

締め切りが迫っていて緊迫感のあるイメージ
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5.部下の仕事のゴールを設定する

第五は「ゴールを設定する」です。ゴールには「最終到達点」と「当面の目標」があります。最終到達点はプロジェクト全体の仕上がりの像でしょう。当面の目標は今日行う仕事の到達点でもよいし、一週間程度のひとまとまりの仕事の仕上がりでも構いません。関係するスタッフ全体、あるいは個々のメンバーに対して、「いつまでに」「何を」を示します。

人間、ゴールが見えれば頑張れるものです。だから、ちょっと頑張れば到達できるところにゴールを設定します。ゴールを示さなかったり到達できそうもない理想像だけ示したりしても、やる気は起きません。達成感がないままダラダラと続けるのは最悪です。

個々のゴールに着いたら必ず一休みします。

ちょっとしたゴールであればティーブレイクをとる。大きなゴールであれば休養日を入れる。ゴールしたとたん「さあ次!」では、やはりくたびれ感だけが残ります。

ねぎらいの言葉をかけ、気分転換できる時間と雰囲気をつくります。詳細な工程表が一里塚になることもありますが、机上で立てたプラン通りには進まないことも多いし、連日遅れが出るとかえってやる気が削がれるので、作り方や使い方には注意を要します。