お金の心配なく老後を迎えるためにはどうすればいいのだろうか。セゾン投信創業者の中野晴啓さんは「老後のための資産形成は50歳からスタートしても十分に間に合う。一方で、最初に失敗してしまうとリカバリーが大変なので、『長期・積立・分散』をベースに着実な投資を心がけるべきだ」という――。

※本稿は、中野晴啓『50歳からの新NISA活用法』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

お金から育つ若い木
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いまだに投資による資産形成を否定する人は多い

【心得その1】投資に対するアレルギーをなくす

50歳になるまで、お金は「働いて稼ぐ」のが王道であり、投資で増やすのは邪道だ、などと思っている人は、意外と少なくありません。

「投資なんてただの博打」「親から、株式投資なんてもってのほかだといわれてきた」などとおっしゃる方もいます。

それは、個人金融資産に占める株式や投資信託の比率の低さからも、よく分かります。「貯蓄から投資(資産形成)へ」などと、国は必死に声を上げてきましたが、それもむなしく、この20年超にわたって、株式や投資信託が個人の金融資産に占める比率はほとんど上昇しませんでした。

今、50歳の方のご両親の年齢は75~80歳前後というところでしょうか。生まれたのは1940年代の前半から半ばくらいです。多少、先の大戦と重なりますが、まだ幼少だったので、戦争の記憶はほとんどないかもしれません。そして戦後、日本の高度経済成長期のなかで育ち、社会人となり、働き盛りは1980年代のバブル経済。2000年代前半に定年を迎えたというのが、今、50歳の人たちのご両親が生きてきた日本です。

今、50歳の人たちは親の価値観を否定すべき

この歴史的背景を考えると分かるのですが、50歳の人たちのご両親は、投資というものをほとんど経験せずに、生活を成り立たせることができました。定年前は、日本経済がバブル崩壊の影響でデフレに悩まされていた時期に重なるため、多少、待遇面などで厳しいところもあったかもしれませんが、基本的には逃げ切ることができた世代です。

退職金もある程度の額が得られたでしょうし、年金もしっかり受給できていることでしょう。そのような経済事情から察すると、「投資なんて博打」という気持ちになるのは、至極当然のことなのかもしれません。

ですから、今、50歳の人たちにまず申し上げたいのは、「親の価値観を否定しましょう」ということです。親がどれだけ投資による資産形成を否定したとしても、聞かないようにしてください。なぜなら、皆さんの世代は、投資による資産形成なしに、これからの人生は成り立たないからです。

昔は年功序列賃金が徹底されていましたし、何よりも経済がどんどん伸びていましたから、50歳以降も定年を迎えるまで、給料は比較的堅調に増えていきました。

でも今は、そんな会社はほとんどないでしょう。大抵は、55歳くらいになると役職定年になって給料が下がりますし、そもそも日本の経済力が落ちているので、基本給を一律に引き上げる「ベースアップ」も、物価上昇を上回ることは期待できません。