組織の人間関係には「戒」と「律」が必要
①戒学
戒学とは、戒律を学んで守り保つ努力のこと。
ブッダは弟子たちに、サンガと呼ばれる4人以上のグループを作って修行するように推奨しました。
サンガが4人以上である理由は、1人だと自分のエゴに気づかず、怠けたり諦めたりしやすいから。2人だと仲違いしやすいから。3人だと2対1に分かれて、対立が起きやすいから。
修行僧といっても、それぞれが育った環境も、信条も、思考も、感情も、生活習慣も違います。心が成長していない者たちが集まれば、やはり人間関係のトラブルが起きるものです。
どうしても根性論だけではトラブルが起きやすい。そこで考えだされたのが、戒律です。
戒とは個人のルール。律とは集団のルールです。
例えば戒には、殺さない、盗まない、嘘や偽りを言わない、他人の過ちを責め続けないなどといったものがあります。
例えば律には、定期的に行われる反省会や大切な決定が行われる集まりには、必ず出席しなければならないといったものがあります。
複数人が集まって活動するためには、それぞれの違いを理解した上で、戒律を守り保つ努力が必要だというのです。
部下のためにハッキリ、サッパリ、堂々と行動
特に律は、教団が円滑に運営され、その目的を達成するためによく吟味された法律ですから、個人のわがままは許されません。律によっては、それを破れば追放といった厳しい定めもあります。
職場でも同じです。仕事に必要な知識、やり方、社会人としての立ち居振る舞いは、部下の成長を願うならば必須です。
ダメなことはダメ。やらなければならないことは、やらなければならない。
組織で働く以上、当然のことです。
部下の成長を願うならば、「パワハラ」と評されることに怯えて、陰でイライラ悶々とするのではなく、早い段階でハッキリ、サッパリ、堂々と伝える。
修行僧とて、一人で山の中に籠もって瞑想をしていても心は成長しません。戒律を守りながらも人の間で揉まれることによって自らの煩悩を目の当たりにし、それを超克していくことで、心技体が成長するのですから。