イライラしている自らの心身に集中すると…

②定学

定学じょうがくとは、瞑想のこと。

精神を集中して心を散乱させない努力のことです。

精神を集中し、心を定める修行が必要な理由は、心がそれだけ乱れやすいからです。

では、「心」とは一体何か。

私たちの身体には、眼、耳、鼻、舌、身といった五感が備わっています。これら五感は、生命が外からの危険を避け、快楽を得て生きるために必要な感覚器官です。

この五感から入力された刺激や情報をもとに、私たちの内側で作られる情動が「心」です。

「心」が私たちの言葉や身体の行為を左右し、私たちの言動が、生活や仕事の結果を左右します。

だから部下の言動にイライラしたら、その言動に意識を囚われるのではなく、自らの心身に集中し、観察するのです。

イライラする心と体。ただそこに起きる動乱を観察するのです。

すると次第に、あなたの中に落ち着きが広がってくるのを感じられると思います。

自らの心身を集中、観察すること。冷静な観察眼を育てること。それが定学です。

「智慧」を育てると、心が安定する

③慧学

慧学えがくとは、煩悩を離れて、ものごとを客観的に観察する努力のこと。

私たちの心はさまざまな記憶を蓄積しています。20歳まで生きれば、20歳までの記憶があります。50歳まで生きれば、50歳までの記憶があります。

さまざまな体験を通して心身に蓄積されてきた記憶は、人によってみんな違います。その記憶が、正解も生むし、偏見や失敗も生むのです。

五感から入力される刺激や情報を、好き嫌いや思い込み、欲や怒りを付加して妄想加工すると、心が動乱します。

五感から入力される刺激や情報を、正しく、ありのままに観察できれば、心が安定します。