「低い(Low)」か「非常に低い(Very low)」が多い

ほかの項目はすべて「低い(Low)」か「非常に低い(Very low)」です。

・全死亡率が増えているように見える
・心血管疾患(CVD)が増えているように見える
・CVDによる死亡率が増えているように見える
・脳卒中が増えているように見える
・膀胱がんが増えているように見える

これらの項目を見ると、人工甘味料には深刻な悪影響があると思ってしまうかもしれませんが、あくまで、確信度が「低い(Low)」か「非常に低い(Very low)」データばかりです。

だとすると、話はかなり不確かです。

がんによる死亡数には差がない

人工甘味料の発がん性についてもWHOは評価しています。

・がんによる死亡数には差がない
・がんの診断数には差がない
・膀胱がんの診断は増えているように見える(オッズ比1.31)

いずれも確信度は「非常に低い」なのですべて無視してもいいと思います。さらに「オッズ比1.31」というのは効果の大きさを示す数字で、ふつうの言葉では表現しづらいのですが、かなり小さい効果と言っていいと思います。

仮に全部を信じるとして、膀胱がんになる人が少し増えるとしても、肺がんや大腸がんになる人に比べればごく少ないため、全体としては統計的に差が検出できないほどの差なのかもしれません。そして多重性の問題を考えれば、人工甘味料に発がん性があるかどうかは結局わからないと言うべきでしょう。

「人工甘味料は体に悪い」は盛られすぎている
写真=iStock.com/tongpatong
「人工甘味料は体に悪い」は盛られすぎている(※写真はイメージです)