エビデンスが弱いせいで言葉を濁している
「確信が薄い推奨、または期待される正味の利益が非常に小さいときの推奨」とは、ひとことで言うと、よくわからないということです。
筆者の出身地の大阪府ではこういう場合「知らんけど」と言います。人騒がせなことを言ったわりに、最後は「知らんけど」と言われると拍子抜けしてしまいますよね。
なぜWHOは言葉を濁しているのでしょうか。
もちろんエビデンスが弱いからです。
ガイドラインに載っている、人工甘味料の消費量が多い人と少ない人を比較したエビデンスの一覧表を見てみます(図表1)。
確信度が低いデータしかない
この表で一番大切なのは、右端の「確信度(Certainty)」です。確信度は「高い」「中等度」「低い」「非常に低い」の4段階で表すことになっていて、確信度が高いほどエビデンスがしっかりしているという意味です。
どうでしょうか? 「高い(High)」がひとつもありませんね。どうにか「中等度(Moderate)」がついているのが次の4点だけです。
・空腹時血糖値には差がない
・HbA1c(糖尿病の指標)には差がない
・収縮期血圧には差がない
・拡張期血圧には差がない
・HbA1c(糖尿病の指標)には差がない
・収縮期血圧には差がない
・拡張期血圧には差がない
後述しますが、このガイドラインは糖尿病と診断された人を対象外としています。つまりここで言う血糖値は糖尿病がない人の血糖値ですから、そもそも下げる必要がありません。血圧を下げるために人工甘味料を使うという考えはこれまで聞いたこともありませんでした。だからこんなデータは本質的ではなく、どうでもいいのです。