ルールづくりには何段階かあるのですが、まずは自分の体の状態を知る「健康診断」と同じように、自宅や田んぼ、会社などの施設の災害時の危険性を知る「災害診断」をぜひやってみてください。「ハザードマップ」という災害時の危険性を教えてくれる地図を基に確認してください。

ハザードマップは紙で配付されることもありますが、最近はデジタル版も発行されています。国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」というサイトでは、お住まいの自治体のハザードマップを検索したり、ウェブブラウザ上でハザードマップの情報を重ねたりすることができます。ぜひ試してみてください。

※国土地理院「ハザードマップポータルサイト 身のまわりの災害リスクを調べる

災害時の地域は、いつもの見慣れた地域とは異なります。ある地域のワークショップで「災害診断」をした時に、田んぼや、自宅から田んぼに至る道がすべて3m程度の浸水エリアになっていることを確認した参加者が、「まさかこんなところが水に浸かるなんて!」と驚きの声を上げていました。

「誰が」「何をするのか」を事前に決めておく

また別の参加者は、台風時に工場の確認をする必要があったのですが、工場自体は浸水しない想定だったものの、自宅から工場に至る道が浸水エリアになっていました。そのため、安全に工場に行くことができる別の人を、台風時の工場確認の担当として計画修正していました。

事前計画では、タイムラインという考え方があります。時間経過とともに「誰が」「何をするのか」を事前に計画したものです。地域や組織などで作られています。国土交通省のサイトに「タイムライン」について動画や事例などがわかりやすくまとまっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

ある地域では、水害時の水門の管理について、従来よりも早い段階から数段階にわたって水路の確認と水門の開閉などについて対応し、対応時も必ず複数人の利害関係者で行うように計画を修正したところもあります。

※国土交通省「タイムライン」サイト

会社では、災害時の事業継続計画(BCP)を作成しているところも多いかと思います。まずは地震版だけでなく、水害版があることも確認してください。また水害版ではどのように被害確認をする計画になっているか、命の危険性がないかを確認してください。水害版のBCPについては、一般財団法人国土技術研究センターのものがわかりやすくまとまっています。

※一般財団法人国土技術研究センター「水害対応版BCP」サイト