当たり客を的確にゲットし仕事の効率性を高めるにはどうしたらいいのか。800社超、17万人のビジネスパーソンの働き方改革支援をしてきたクロスリバー代表の越川慎司さんは「成績上位5%の社員は、完璧な商品でなくても売ることができ、『相手にしない客』を見極める力があります」という――。

※本稿は、越川慎司『AI分析でわかったトップ5%セールスの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

ネクタイを結ぶビジネスマン
写真=iStock.com/Madiz
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5%セールスはコントロールできない領域は「捨てる」

売れないセールスは、売れないことを他責にして、内省をしません。自分は運が悪いとか、価格が高いとか売れない商品を扱っているとか、自分以外のことに責任を擦りつけているのです(もちろん、他者に責任があるケースも存在します)。

一方、5%セールスは同じ事実に対して、ポジティブに解釈する傾向があります。これは能天気ということではなく、事実に対してチャンスを見つけようというマインドセットを持っているからです。

たとえば製品の機能が少ないと思えば、顧客を絞ることを優先すべきだと考えます。また、価格が高いと思えば、意味づけによって価値を見出そうとします。こうして自分ではコントロールできないところにエネルギーを割くことをせずに、自分がインパクトを残せるところを見つけ出して、その中で創意工夫をするのです。

これは、5%セールスの発言です。

「完璧な商品やサービスなら、そもそもセールスは必要なく自動的に売れていきます」

また、中堅の製造業にいる5%セールスの方からはこんな発言もありました。

「製品を商品にすること、機能を価値として意味づけしていくことがセールスの本質だ」

分かりにくい製品だからこそ、分かりやすい商品として説明する。機能が不足しているからこそ、そこから生み出される価値を顧客のニーズに合わせる。このように、コントロールできる範囲の中で何ができるかを模索するのが5%セールスです。

たとえば、他社よりも機能で劣ったスマートフォンを売る場合は、「シンプルで使いやすい」「このスマートフォンは説明書不要」などと説明するのです。

不動産仲介会社の5%セールスは、日当たりが悪い部屋を紹介するときに、「夏は涼しく、クーラーの電気代を抑えることができます」と説明するそうです。日当りが良くないという事実を、夏は暑くならないとポジティブに解釈し、その価値を顧客に紹介しているのです。

機能が足りないという事実をポジティブに解釈して、相手のニーズやワクワク感にフィットさせているわけです。

成績を出すことができないセールスは、できないことに不満を持ち、「良い顧客」が向こうからやってくるのを待ちます。

5%セールスは、自分がコントロールできないことをあきらめて、自分ができることの範囲で創意工夫して、良い顧客がやってこなくても成果を出す努力をしています。自分がコントロールできるエリアの中でさまざまな行動実験を能動的に行っていくので、良い客に偶然会う可能性も高まります。

一つの事実に対して、ネガティブにもポジティブにも解釈できると、5%セールスは信じています。不平・不満を言って行動しないのではなく、自分ができることをローリスク・ローリターンで継続していけば、成功に近づいていくことを、5%セールスは経験で知っているのです。