2023年2月、2000倍もの難関を突破して3人目の日本人女性宇宙飛行士が誕生した。3人のうち、2人は女医。麻酔科医の筒井冨美さんは「日本人初の女性宇宙飛行士である向井千秋さん(医師・現東京理科大学副学長)の夫・万起男さんは『米国でもアフリカ系に限定すれば女性宇宙飛行士における女医率が高い、これは国家資格がないとキャリア形成が難しい社会属性の裏返し』という考察を記しています」という――。
日本人女性宇宙飛行士「3人中2人は女医」の意味
2023年2月末、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13年ぶりの宇宙飛行士選抜試験の結果、日本赤十字社医療センターの外科医・米田あゆさん(28)と世界銀行専門官の諏訪理さん(46)の合格を発表した。米田さんは向井千秋さん、山崎直子さんに次ぐ3人目の日本人女性宇宙飛行士となる。
今回の応募条件で「学歴」が問われなかった影響で過去最大の2000倍を超える倍率を突破した。4127人もの応募者の中から、まず書類選抜で2266人に削られた。次の選抜では、英語能力、理系の知識などが試され、約10分の1の205人に。その後も数度の試験や面接により、今回の2人に絞られたがJAXAはその詳細を明らかにしていない。
これまでには、真っ白なパズルを作成するテスト(集中力や忍耐力を試す)や、1週間ほど集団生活を送るテスト(閉鎖された隔離施設への適応力)などが行われたと言われている。
過去にJAXAが採用した宇宙飛行士は13人だが、そのうち4人が医師であり、女性に限れば3人中2人となる。さらにファイナリスト名が公表されている2009年と2023年の各10人の候補者で医師を検索すれば、2009年の選考では「男性9人中1人(自衛隊医官)、女性1人中1人(産婦人科)」、2023年は「男性8人中1人(脳外科)、女性2人中1人(外科)」と、女性ファイナリストでも3人中2人が女医である。
そういえば、宇宙飛行を扱う人気マンガ『宇宙兄弟』に登場する女性宇宙飛行士のヒロイン伊藤せりかも「女医から宇宙飛行士に転身」というストーリーだった。
女医は宇宙飛行士への近道と言えるのだろうか。