<クレムリン襲撃の後、モスクワをはじめとするロシアのあちこちで大規模火災が起きている。原因はいずれもはっきりしない:ファトマ・ハレド>
街が炎に包まれている
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5月7日、ロシアの首都モスクワの上空に、大量の黒い煙が立ちのぼる様子を捉えた複数の動画がネット上で拡散した。報道によるとこれは、モスクワのある建設現場で起きた火事によって生じた煙だという。また、同日にはロシア国内の他の地域でも森林火災が発生し、多くの被害が出た。

キーウに本拠を置く英語ニュースサイト、ユーロマイダン通信は、市民からの報告を引用する形で、7日に発生した火事が起きた場所は、モスクワに本社があるロシアの不動産建設企業PIKグループが管理する建設現場だったと伝えた。火災があったとされる現場は、ロシア連邦保安庁(FSB)の教育機関FSBアカデミーから約5マイル(約8キロ)の場所にある。

火災の原因はいまだに不明だが、ユーロマイダンの報道では、廃棄物や建設資材から出火したという。同紙は、ビルが建ち並ぶモスクワの市街地を、吹き上がった黒い煙が覆う様子を映した短い動画を投稿した。

この火災の動画は、アナリストのフェヘール・ユニオール、アイルランドのジャナーリストであるジェイソン・コーコラン、そして元アメリカ連邦下院議員で現在はCNNのコメンテイターであるアダム・キンジンガーらにリツイートさされた。

7日までに55件の火災

6日晩には、ロシア中央部のスヴェルドロフスク州にある小さな村で、森林火災の火の手が火薬庫に及び、住民が避難を余儀なくされる事態になった、と地元当局者が報告している。今のところ死傷者は報告されていないが、火事は960平方メートルに燃え広がったと、この地域の非常事態省は、自らのテレグラムチャンネルで説明している。

スヴェルドロフスク州知事のエフゲニー・クイヴァシェフは、この森林火災の状況を「危機的」と表現したと、ロイター通信は伝えている。森林火災は、乾燥した強風によって勢いを増し、火の手が広範囲に広がったという。

ラトビアを拠点とするロシア語・英語ニュースサイトのメデューサが引用したエカテリンブルク・オンラインの記事によると、スヴェルドロフスク州では、7日時点で55件の森林火災が発生。複数の地域で非常事態宣言が発令されているという。さらにメデューサによると、ペルヴォマイスキー村に広がった火事の影響で、2棟の火薬庫が焼失。ほかにも、爆発物が貯蔵されている18棟の建物が危険な状態にあるという。同村は、クラスノアルメイスキー村と共に、住民が避難を余儀なくされている。