中国版ChatGPTを使ってみた
その事実を確かめるため、中国版ChatGPTの1番手として名乗りを上げた、バイドゥのチャット型AI「アーニーボット」(文心一言)を使ってみた。
ChatGPTと同様に、一般的な文章を入力すると返答する仕組みだ。また、ニーズに応じて「レポートを書く」「知識検索」、そして「イラスト作成」という出力方法を選ぶこともできる。
下記の画像は「謝罪の手紙、睡眠不足で原稿の締め切りが守れませんでした」という指示に対する回答だ。思ったよりも長い文章を作成してくれた。締め切りを守れなかったことを謝るだけではなく、「事前に状況を説明しなかったことを謝罪したい」と要素を付け足してくれている点は評価が高い。他にもいくつか文章を作らせてみたが、謝罪文や反省文など型が決まっている文章はかなり得意なようだ。
となると、定型文の文章を大量作成しなければいけない人々にとってはかなり重宝しそうだ。中国だと、その代表格は中国共産党員である。まじめな党員ライフを送るためには、新たな習近平講話の学習会レポートなど、あまりやる気にならない文章を書きまくらなければならない。創造性は発揮すればするほど危険で、他の人と同じ決まり切った文章を書くほうが安全……というわけで、これまではテンプレをコピペして、すこしいじるという手法が横行していたのだが、今後はAIに書かせるという新時代の到来が予見される。
イラスト生成の精度はあまり高くない
……と思ったのだが、さすがに中国企業が開発したAI、不正利用できないような工夫がほどこされているようだ。
「習近平思想学習会の報告を書いて」とお願いしたところ、「AI言語モデルである私はこの問題にどのように答えるのか、まだ学習しておりません」と断られてしまった。確かに中国共産党員がこぞってAI執筆レポートを提出するようになると、えらい人の怒りが炸裂しそうなだけに、こういう使い方はできないようにしておくべきだろう。
さて、見事な反省文を書いたアーニーボットだが、小説などクリエイティブな文章を書かせるとどうもうまくいかない。
さらに、イラスト作成機能ではこちらの意図を理解してもらえないケースが多かった。たとえば下記のイラストは「从宇宙看的长城」(宇宙から見た万里の長城)という言葉で生成したものだが、文法を理解できず宇宙と万里の長城を並べたものになっている。
米マイクロソフトの「Bing Image Creator」では、同じ中国語の指示を与えても、ちゃんと「宇宙から見た」という意図を正しく理解している。