世界的なAIブームのなか、中国がAI開発に苦戦している。ジャーナリストの高口康太さんは「中国はもともとAI大国として知られていたが、AI開発に必要なデータ収集や最先端の精密機器の入手に後れを取っており、開発が思うように進んでいない。私も実際に『中国版ChatGPT』と呼ばれるバイドゥのチャット型AIを使ってみたが、マイクロソフトのAIと比べて精度は低かった」という――。
マイクロチップ上の米国と中国の国旗
写真=iStock.com/William_Potter
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米国と並ぶ「AI大国」として知られていたが…

中国のAI(人工知能)がちょっと変だ。

ChatGPTの爆発的なヒットを受け、今や世界中がAIブームに沸き立っている。中国も例外ではない。検索のバイドゥ、EC(電子商取引)のアリババグループ、ゲーム・メッセージアプリのテンセント、動画アプリ「TikTok」のバイトダンスなど、名だたるIT企業はこぞって参入し、中国版ChatGPTを生み出す競争を始めている。

中国は米国と並ぶAI大国として知られる。スタンフォード大学人間中心AI研究所(HAI)の報告書「2022 AI Index Report」によると、AI関連の論文数では中国が全体の31.04%とトップ。EU・英国の19.05%、米国の13.67%を引き離している。また、AIの活用にも積極的で、さまざまなAIソリューションが開発されている。

「キッチンにネズミがいないか発見するAIカメラ」「高層ビルからポイ捨てしたらすかさず位置を特定して通報するカメラ」といった、「確かに便利かもしれないけど、それわざわざ開発するの?」と驚くようなものまで出回っているなど、豊富なAIプロダクトが根づいている。

となれば、ChatGPTに追いつくAIをあっという間に作り出してしまいそうなものだが、どうやらかなり苦戦しているという。