感情を抑えられない子への対処法
いいですか、問題は「怒ること」ではなく「怒りを爆発させること」です。ものを投げて壊してしまったり、まわりの人を叩いたり、汚い言葉で罵ったりしてしまうことが問題です。
特別支援学校では、(怒りの)感情を爆発させないために「負ける練習」をします。思うようにいかないことへの対応です。
「負ける練習」のポイントは、「運や偶然性」により「すぐに」決着がつくゲームを「何度も」行うことです。どちらか片方に勝敗を偏らせず、「すぐに」「何度も」ゲームを行うことで、負けたことによる「怒りの感情」を引きずらず、切り替える感覚を養います。
具体的には、引いたトランプの数字で勝負したり、くじびきで勝敗を決めたりするようなゲームですね。たくさん勝って、たくさん負けます。
そして、ゲームの「まえ」に「負けたあとの正しい行い」もしくは「負けたあとのよくない行い」を説明したりイラストで提示したりしておきます。
さらに負けの耐性を高めていく練習として、おなじように「すぐに」決着がつくゲームを「3連勝したら勝ち」「先に10勝したら勝ち」など、「勝利の条件」を遠くにしていきます。
ストレス耐性をスモールステップで伸ばしていくイメージですね。
怒りをクールダウンする方法
また、高等部の生徒など、卒業後の社会生活に向けたコミュニケーションスキルを高める段階では、「カッとなって暴力を振るったらどんな罰を受けるか」について説明します。
手を出す以外にも、暴言や誹謗中傷も罪になることを教え、これまで積み上げてきたその子の努力や時間が一瞬にして崩れる危険性を何度も伝えます。
「怒りを爆発させないため」にいちばん大事にしてほしいことは「怒りの対象と物理的に距離を取る」ことです。つぎに、深呼吸をする、6秒数えるなど「時間を空ける」ことです。
「ムカつく!」と感じたら、対象の人と距離を詰めるのではなく距離を空ける。手にものをつかむのではなく、手からものを放す。「物理的に」攻撃できない距離を確保して、人とものと時間から間を空け、クールダウンします。
そして、そのあと冷静に話し合えたらグッドです。
こちらに非がないのに相手が「怒りを爆発」させてくることもあるでしょう。我慢するのはほんとにしんどいですが、それでもグッとこらえないといけません。
むずかしいけれど、その場だけは水に流し、(場合によっては証拠を集め)まわりの人に相談できる「大人」になってもらえるよう、導いてあげたいですね。