子どもの問題行動に親はどう対応すればいいのか。特別支援学校の教員である平熱さんは、「目に見える“困った行動”を叱っても意味はない。なぜその行動を起こすのか、“見えない原因”にアプローチする必要がある」という――。

※本稿は、平熱『特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

黒板の前で罰を受ける子ども
写真=iStock.com/Favor_of_God

「見えないところ」を考えてみる

見えるところって、気になるんです。

見えるところって、そこを直せば解決すると思っちゃうんです。

花を咲かせるには、花じゃない部分の手入れが必要です。肥料をやり、水をやり、日光にあて、風を通し、湿度や温度を気にかけないといけません。

子どもの「よくない」行動は、目につきます。「できない」ことが目につきます。反射的に怒りたくなる気持ちもわかります。でも、一度立ち止まってみてください。

イラッとしちゃうその行動は、ただ「見えているところ」であって、その原因となる「見えないところ」については、考えられていないかもしれません。

たとえば、「授業中にウロウロしてしまう」子どもに「ウロウロしないで座ってなさい!」と怒るのは簡単です。怒られた子どもだって、先生がこわいし、怒られるのは嫌だから、その場では座るかもしれません。でも、きっと長くは続きません。

明日には立ってるかもしれないし、つぎの授業で立ってるかもしれない。先生がこわくて座り続けていられても、ストレスが小さいわけがありません。あたりまえですよね。

だって「ウロウロする」=「見えてるところ」に対してのアプローチは行ったものの、「どうして」ウロウロするのか=「見えないところ」にはまったく触れてないんだもん。

花びらがよく見えるように花の向きを変えただけじゃ、花はきれいに咲きません。この子が「どうして」ウロウロしちゃうのかを考えないと、原因は突き止められません。

子ども自身がその理由を伝えてくれればいっしょに解決していけますが、発達につまずきのある子どもたちには、それが苦手なことも多いです。自分自身が「どうして」ウロウロしちゃうのかわかってないことだってあります。

だから、わたしたちは考えないといけません。「どうして」そうしちゃうのかを。