困った行動はスモールステップで改善する

●靴を所定の場所に置くことができない場合

この問題に限らず、課題の解決にはいろんなアプローチがあります。今回は「スモールステップで理想の形に近づけていく」方法について説明します。

この子にとって靴を脱いで片づけるべき「所定の位置」がわかりにくいか、わかっていても置きづらいと仮定します。

反対の見方をすると、これが「わかりやすく、置きやすい位置」だったら「所定の位置」に靴を置くことのできる確率がグッと上がります。

たとえば、無機質な靴箱に名前シールだけ貼ってあるものが「所定の位置」だとします。数ある靴箱から自分の名前を探すのが大変だし、それなりに狭い空間に靴をそろえて置かなければなりません。

じゃあ「大きな真っ赤な箱」が「所定の位置」だったらどうでしょう。靴箱から自分の名前を探さなくてもいいし、靴をそろえなくても構いません。

ポイッと靴を目立つ箱に入れれば「所定の位置」に靴を入れることができます。このように「確実にできること」から少しずつ、スモールステップで目標(たとえば「靴箱に靴をそろえて入れる」)に近づけていきましょう。

こうすることで、子どもはたくさんの「できた」の連続で、こっちが望む「できた」に近づいてきてくれます。

靴を脱いで片付ける方法イラスト
イラスト=©まる

スモールステップの組み立て方

「スモールステップで理想の形に近づけていく」というのは、大人も「できてない!」と目くじらを立てることがみるみる減っていく、ノーベル賞を受賞するべき画期的なシステムです。

この場合におけるスモールステップの具体例も紹介しておきます。

箱のサイズを小さくしていくのもいいし、赤からもっと目立たない色にしていくのもいいです。

箱の位置を、わかりにくい位置に少しずつ動かしていくのもいいですね。こんなのはゲーム感覚でたのしいかも。

靴箱の数が多すぎて探せないなら、3段のカラーボックスのひとつを靴箱にするなど、少ない選択肢から探すのもいいかもしれません。

名前シールが探せないなら、顔写真や色シールなど、その子が見つけやすい提示方法もいいでしょう。

こんなふうに、子ども一人ひとりに応じたサポートの方法や手順で「できるはずのことで、できてない」を少しでも減らしていけるといいですね。