謙虚な人ほど周囲と円滑な人間関係を築けるワケ

その逆のケースはまさに枚挙にいとまがないといえます。

ファミレスで店員さんに「水」とぶっきらぼうに言う高齢者。なかには無言でコップをドンとテーブルに置いて指差す人もいます。これに関しては、客商売をしている人の中に“三波春夫根源説”がまことしやかに流布しているという話を聞いたことがあります。

弘兼憲史『弘兼流 70歳からのゆうゆう人生「老春時代」を愉快に生きる』(中央公論新社)
弘兼憲史『弘兼流 70歳からのゆうゆう人生「老春時代」を愉快に生きる』(中央公論新社)

かつて三波春夫が「お客さまは神様です」といったことが定着してしまい、「お客さまイコール神さま」「店員イコールしもべ」という関係ができてしまったというのです。真偽のほどはわかりませんが、そんな説が聞かれるほど「お客さまは偉い」という風潮があるのは確かでしょう。

目に余るようなクレーマーの台頭も、この意識が歪んだ形で現れているのかもしれません。とくに歳をとるほど、ここは自戒したいものです。

私はよく第二の人生のスタートを小学一年生にたとえます。

一年生はみんな対等、どんな境遇の子も平等に机を並べています。そこで協調性や連帯感を身につけて、周囲と円滑な人間関係を築こうとするのです。そのときもっとも必要なのは謙虚さ。人間、謙虚になって損をすることはありません。

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