地域サークルでは組織の構造を把握し、自分を出すこと

自分は人間関係を作るのは上手いほうだと密かに思っていたのに、セカンドステージでは環境の変化によって苦労してしまうことがあります。

たとえば現役時代、会社では人望があり、人間関係で大きなトラブルをほとんど経験しなかった人が、リタイア後、参加した趣味のサークルでは友人がなかなかできず、疎外感に苛まれる、というケースもあるようです。

私の知人もそんなひとり。学生時代、卓球の同好会に所属していた彼は退職を機に地域の卓球サークルに入ることになりました。

気が進まなかったのですが「体のことも考えてね」という奥さんの声に後押しされ、重い腰を上げました。「年中、家にいられたら鬱陶しい」が奥さんの本音でしょうが……。

サラリーマン時代、クセの強い上司や同僚、胸襟を開かない部下など、さまざまなタイプとつきあってきた彼は、そんなサークルでもメンバーとうまくつきあっていけると考えていました。

ところが、最初に彼はつまずきます。サークルのボス的な人と対戦し、熱戦の末、勝ってしまったのです。最初は「少し手加減をしよう」と自分に言い聞かせていましたが、つい本気になってしまい、その結果、目の(かたき)にされてしまいました。

サークルもそうですが、新しい会社や組織での人間関係をうまくやっていこうと考えるなら、はじめは「相手を立てる」ことです。もちろん、スポーツであれば堂々と勝負をするのが基本です。

ところが、『課長 島耕作』にも登場しますが、どんな組織にもボス的な人が君臨し、周囲にはその子分がいます。そこで意地を通して虎の尾を踏んでしまうのは、賢明ではありません。

地域のサークルのようなところでは、少し会話を続け、雰囲気を観察すれば、そこが風通しのいい組織か、数人の人間が独善的に振る舞っている組織かわかります。

そこをしっかり認識してから、自分を出すべきなのです。それを怠り、自己主張をすると、相手を不快な気持ちにして、関係を悪化させてしまうこともあります。