「レナのやりたいことはほかにあるんちゃう?」
川﨑さんは14歳で環境や社会活動のリーダーを育成する若者の国際NO組織、アース・ガーディアンズの日本支部を立ち上げた。15歳になると株式会社ユーグレナの2代目CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)に就任し、若者の立場から会社の変革に携わるようになる。
「自分で団体をつくる前は、学校で生徒会長などのポストにつくことでなんとなくリーダー的な活動をやれている気分になっていたんです。でも、母に『レナのやりたいことはほかにあるんちゃう?』と見抜かれて。もっと、国連みたいに世界中の困っている人のために活動したいという自分の気持ちに気づかされました。『企業とそういう活動ができる場もあるみたいやで』と後押しもしてくれて。そこから10社ほどのプログラムにエントリーしました。いつもきっかけをくれるのは母でしたね」
「国際子ども平和賞」を受賞したと母親に伝えたときには、とても驚かれ、それ以上にとても喜んでくれたという。
「母は私がどんな活動をしているのかほとんど知らなかったんです。きっかけはくれるんですが、そのあとどうなったかなど聞いてくることがなくて。家での会話は、テレビのバラエティーを見ながら『おもろいなぁ』とか、そんなんばっかで(笑)。でも私がインタビューなどを受ける機会が増えて少し調子にのりそうになっていたら『これがゴールやないで。いまようやくスタート地点に立ったんやろ』『まわりに感謝するように』とくぎを刺されました」
世界で活躍する川﨑さんに、これからの世代に必要となる力は何だと思うか聞いてみた。
「……難しいですが、一番大切なのは“楽しむ力”じゃないかなと。例えば、団体に、塾に行った後にオンライン会議に参加するメンバーがいるのですが『こんな遅い時間に大丈夫なん? 無理しないでね』と言うと、『やりたいから!』と目をキラキラさせるんです。心からワクワクしたり楽しんだりできることって、無理がないから、持続可能性が高いと思うんです。ストレスの多い時代ですが、息抜きの仕方を覚えて楽しく取り組めばうまくやっていけるのかなって」
そのためにも「親が楽しそうだと子供はうれしい」と川﨑さんは言う。
「楽しさって伝染すると感じています。親が楽しそうだと、子供も楽しいほうに向かえるのかなと思います。あとは子供にたくさん失敗させてやってほしいです。そしたら、外で大失敗したときにも比較的早く復活できると思うので。母はたくさん失敗を経験するとやりたいことが見つかるとよく言っていました」