「器としてのNISA」を最大に使う
さて、制度として不備を減らしつつ柔軟になり、金額的なスケールも増した「新しいNISA」ですが、これをどう使ったら効果的なのでしょうか。
雑誌の解説記事のようなものを想像すると、「一人ひとりのライフプランと家計の事情に応じて投資できる金額を決めて、つみたて枠と成長投資枠のそれぞれについて“お勧めの投資対象”を挙げると……」といった構成を想像しますが、こうした発想では、おそらく正解にたどり着きません。
もう少し論理的に考えましょう。まず、新しいNISAは、運用商品そのものではなく(初心者にはよくある誤解です)、運用商品を持つための「有利な置き場所」であるという仕組みの本質を踏まえておきましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)やこれまでの各種のNISAでもそうでしたが、こうした「有利なお金の置き場所」の利用にあっては、
(2)自分の運用全体の一部分として使う
(3)置き場所ごとの特性に合わせた最も有利な投資対象を割り当てる
の3つの原則に従うと効率的に使えます。本稿では、特に(1)と(3)を踏まえた、新しいNISAの効率的な使い方を説明します。
まず、NISAは「通常通りに課税される一般の運用口座よりも有利なお金の置き場所」です。できるだけ早く大きく使う方法を考えましょう。
iDeCoとNISAの使い分けの原則
その前に、iDeCoとNISAの使い分けの原則を確認しておきます。両者を比較すると、課税される所得がある人は所得控除のメリットが大きなiDeCoを優先的に使う方が有利な場合が多いので、iDeCoに割り当てる金額を先に決めましょう。
他方、課税される所得がない専業主婦のような方の場合は、資金の引き出しに制限(原則60歳まで不可など)があるiDeCoよりも、解約が自由なNISAを優先的に利用する方がいい場合が多く、特に今回の新しいNISAでは、投資を部分解約した場合にそこで使っていた非課税投資枠を繰り返し使うことが可能なのでさらに便利になりました。