シンプルに増やしたければ市場全体に投資する

貯めるのはごくシンプルな話だといいましたが、増やすのは貯めるほどシンプルではありません。なぜなら、増やすためには投資をすることが必要ですが、そのやり方は本当にさまざまだからです。「これをすれば絶対に増える」という方法はありません。投資というのは常に先の見えない不確実なものであり、だからこそ増える可能性を秘めているのです。

別の言い方をすれば、「不確実性=リスク」ですから、投資には常にリスクがつきまとい、そのリスクこそが利益の源泉になるということなのです。

でも「貯める」ほどシンプルにはできなくても、やり方によってはある程度、シンプルに「増やす」ことも不可能ではありません。それは、グローバルに分散投資できる投資信託で、積み立てで少しずつ投資を続けることです。

私も10年ぐらい、この方法を続けてきています。投資で考えがちなのは、「どれを買えばいいだろうか?」、そしてそれを「いつ買えばいいだろうか?」ということを、当てようとすることです。

でもそれを当てるのは、非常に難しいことです。だからこそ、市場全体に投資するというやり方が、最も無難な方法なのです。

「人間の心理」という最大の障壁をなくす

もちろん、投資の途中では価格が変動することもあり、ヒヤリとすることはおおいにあり得ますが、そうした価格の動きに一喜一憂していると、失敗する確率が高くなります。なぜなら、普通の人間の感情としては、投資したものが上がればうれしくなって、さらに買い増しをしたくなりますし、逆に下がると気分は悪くなり、見るのも嫌になります。それどころか、売って投資をやめてしまうということもありがちなことです。

でも本当は、上がれば売り、下がれば買うということでないと儲からないわけですが、実際には人間の心理としてなかなかそういうことはできません。

そこで、売り買いのタイミングや銘柄の選定は考えず、世界の株式市場全体に投資するタイプの投資信託を積み立てで買うというのが、最もシンプルな方法なのです。