広大な中国を制するポイント

4つ目は、多方面展開が可能になったことだ。

中国で小売チェーンを展開する場合、常に問題になるのが、大都市中心に展開するのか、地方都市まで拡大をしていくのかということだ。

中国の都市は、最大の経済情報メディア「第一財経」傘下の新一線都市研究所によって、経済力や人口などの指標を基準にした6つの階級で分けられている。一番上が、一線都市、次に新一線都市、二線都市、三線都市、四線都市、五線都市となる。

一線都市とは、北京、上海、深圳、広州の4都市。新一線都市は成都、杭州、武漢などの15都市。二線都市は昆明、瀋陽など30都市。この二線都市までが大都市と呼ばれる。

三線都市以下は、ほとんどの日本人が名前も聞いたことがない地方都市で、五線都市まで含めると合計337都市になる。

大都市と地方都市の違い

大都市は、消費行動や購買力は他国の大都市に近い。一方、三線以下の地方都市は、購買力だけでなく、消費行動も異なるため、進出をするには大都市とは異なる戦略が必要になる。そのため、多くの外資系チェーンが大都市中心に展開をすることになる。

実際、スターバックスの店舗は86.6%が大都市にある。

一方、ラッキンは大都市が76.1%であり、地方都市にも23.9%出店をしている。

20元という客単価であるため、購買力が弱い地方市場でもそれなりに需要を掘り起こすことができるからだ。

【図表4】中国におけるカフェの出店戦略
中国におけるカフェの出店戦略。スターバックスは大都市中心。Mスタンドは高級スタンド店。ラッキーカップは激安カフェ。ラッキンコーヒーは、その価格から地方都市にも進出しやすい。「新消費の研究:コーヒーシリーズ報告3」(中国平安証券)より作成。

客単価39元のスターバックスはそのままの形で地方都市に出店することは難しい。

ラッキンは、スターバックスが簡単には進出できない地方都市にも展開をしている。店舗はスタンド形式だが、味がよくて価格が安いラッキンは、大都市でも地方都市でも市場を確保することができている。